1998 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド性神経伝達物質の遊離機構ならびに遊離制御システムの解明
Project/Area Number |
09670093
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
仲田 義啓 広島大学, 医学部, 教授 (40133152)
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Keywords | サブスタンスP / 一次知覚神経 / ラット脊髄後根神経節培養細胞 / プレプロタキキニンmRNA / サブスタンスP遊離 / 神経成長因子 / インターロイキン-1β / シクロオキシゲナーゼ-2 |
Research Abstract |
本研究ではペプチドの遊離機構を解明する目的で、侵害情報を伝達するペプチド性神経伝達物質であり、末梢の疼痛刺激により一次知覚神経終末部から遊離されるサブスタンスP(SP)と一次知覚神経に着目した。脊髄後根神経節(DRG)には一次知覚神経の細胞体が存在する。成熟ラットからDRGを単離し初代培養細胞を作成し、SP生合成について培養DRG細胞の性質をすでに観察した。平成10年度には、SP遊離に対するインターロイキン-1β(IL-1β)の作用を観察し、以下の知見を得た。 1. 炎症にかかわるサイトカインであるIL-1βは、培養DRG細胞に添加すると、3時間でSPの遊離を誘発し、その後数日でSP前駆体(プレプロタキキニン、PPT)mRNA転写促進によりSP生合成量を増加した。IL-1βによるSP遊離は、EGTA添加により抑制され、IL-1受容体アンタゴニスト添加により抑制されたことから、カルシウム依存的であり、IL-1受容体を介した作用であることがわかった。 2. IL-1βの効果はシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤(アスピリン、インドメタシン)で抑制された。COXには2つのアイソフォームがある(COX-1、COX-2)。IL-1βの効果は、COX-2選択的阻害剤であるNS-398で完全に抑制され、また、IL-1βによりCOX-2mRNAが増加した。従ってIL-1βによるSP遊離はCOX-2を介した作用であることがわかった。 3. 以上得られた結果は、IL-1βによる痛覚過敏のメカニズムの一部を説明しうる直接的作用と考えられ、現在投稿中である。今後、IL-1βのSP遊離作用に関連するプロスタグランジン類の作用および痛覚伝達調節機構との関連を解明する予定である。
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Research Products
(1 results)