1999 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド前駆体蛋白質高発現ニューロンの作製とその変性過程の解析
Project/Area Number |
09670099
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
林 要喜知 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70173044)
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Keywords | 細胞死 / アデノウイルス / アミロイド前駆体蛋白質 |
Research Abstract |
アミロイド前駆体蛋白質(APP)の遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクターで初代培養海馬ニューロンを感染させると、神経細胞は数日の内に死滅するが、同じ培養皿に存在する非感染ニューロンは死滅しない。そこで、感染細胞の死滅過程において働く分子種を同定するため、ニューロンからmRNAを抽出してデイファレンシャルデイスプレー法を用いて調べたところ、遺伝子発現が上昇する候補分子2個を見い出した。ノーザンブロットによりこれら2クローンの遺伝子発現を調べたところ、2クローンとも大きな変動をしないことが判明した。それゆえ、これらは偽発現上昇クローンであり、スクリーニング方法におけるアーデイファクトの可能性が高いと判断された。長期培養における初代培養海馬ニューロンからmRNAの調整は非効率的であり、そのことが再現性のある実験系を構築する上での問題であると考えられる。そこで、大量mRNAが調整可能となる株化細胞のうち、本アッセイで培養海馬ニューロンと同じように細胞変性を示すものを探索したところ、ヒトアストロサイトーマがAPP遺伝子導入により数日後に変性/死滅を誘導することが判明した。この細胞/死滅過程では、APP遺伝子導入により、先ず、細胞接着性が1-2日で低下し、細胞が丸くなってきた。2-3日後には、細胞内ラジカル産生が約15-20%ほどの上昇で認められた。培養4-5日では炎症性ケモカイン類の生産上昇が確認された。そして、5-7日程では、ラジカル産生の低下と共に顕著な細胞死が確認された。今後、ラジカル産生や分解に関わる酵素遺伝子やケモカイン類の遺伝子群、さらには、海馬ニューロンで認められたようなカスペース群の活性化や遺伝子発現などを調べ、APPの細胞内代謝パターンとの因果関係を明らかにしたいと考えている。
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