2000 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド前駆体蛋白質高発現ニューロンの作製とその変性過程の解析
Project/Area Number |
09670099
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Research Institution | Asahikawa Medicine College |
Principal Investigator |
林 要喜知 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70173044)
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Keywords | アデノウイルス / 細胞死 / アミロイド前駆体蛋白質 / IL-8 |
Research Abstract |
ウイルスベクターを用いた遺伝子導入実験によりアミロイド前駆体蛋白質(APP)を過剰産生させると、培養海馬ニューロンは3〜4日間に変性/死滅するが、グリア細胞では同じ条件で細胞死が認められなかった。そこで、グリア細胞を用いてデイファレンシャルデイスプレイ法を行ったところ、1クローンがAPPにより誘導されることを認めた。部分配列の解析からこれはIL-8の遺伝子であることが判明した。そこで、実際に、IL-8分子がグリア細胞で生産されているか否かを調べたところ、APP遺伝子導入後3〜6日で著しい生産が確認された。次に、IL-8の存在下、非存在下でニューロンを培養ところ、IL-8単独では神経細胞の生存に影響を与えなかったが、APP遺伝子導入によりニューロンの細胞死を著明に高める結果が得られた。APP変異体遺伝子導入と細胞死やIL-8生産の3者の関係を調べたところ、細胞死を誘導するAPP変異体は同時にIL-8生産を誘導する能力があった。また、APP代謝産物の細胞外分泌を阻害剤により抑制したところ、この場合もAPPによる細胞死が亢進することが判明した。以上、APP代謝産物の細胞内蓄積が本モデル系細胞死に直接関わっていると考えられ、グリア細胞からのケモカイン等の生産増大が細胞死を決定的にする役割を担っていると推測された。最後に、本実験系の応用の一つとして抗痴呆性食材の探索を実施したところ、バラ科植物のシュバイカに何らかの活性物質が存在すると考えられた。それゆえ、本実験系は抗痴呆薬の評価系としてや変性遺伝子探索系としてアルツハイマー病研究に極めて有用であると考えられた。
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