1997 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞におけるイノシトール五リン酸・六リン酸の生成と生理的役割
Project/Area Number |
09670104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
笹川 展幸 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (20187107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊倉 鴻之介 上智大学, 理工学部・生命研, 教授 (70129790)
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Keywords | イノシトール多リン酸 / エクソサイトシス / シナプトタグミン / 副腎髄質クロマフィン細胞 |
Research Abstract |
InsP_5・InsP_6の開口分泌における役割を明らかにするため、[^3H]イノシトールで標識した透過副腎髄質クロマフィン細胞を用いカルシウム刺激によって、細胞内及び細胞外に蓄積されるInsP_5・InsP_6を測定した。その結果、カルシウム刺激により刺激後15秒をピークとして細胞外にInsP_5・InsP_6が有意に放出されることを見いだした。またカテコラミン分泌はこの時間経過により遅れ惹起されること、さらにInsP_5・InsP_6添加によりカテコラミン分泌が制御されることを確認した。更に、シナプトタグミンのC2B・C2Aドメインの抗体の効果を検討した。C2Aドメインの抗体によりカルシウム刺激による細胞外へのInsP_5・InsP_6が完全に抑制されることを見出した。これは、カルシウムによるシナプトタグミンのコンフォメーション変化が阻害され、C2Bドメインに結合していたInsP_5・InsP_6の遊離が抑制されたためと思われる。またこの際、C2Aドメインの抗体によりカルシウム刺激によるカテコラミン分泌は有意に抑制された。一方、C2Bドメインの抗体によりカルシウム刺激による細胞外へのInsP_5・InsP_6が完全に抑制された。これは、カルシウム刺激以前にシナプトタグミンのC2Bドメインに結合していたInsP_5・InsP_6が抗体処理に除去されていたためであった。更に、C2B抗体により自発性カテコラミン放出は有意に増強された。以上の結果は、定常状態においてInsP_5・InsP_6がカテコラミン分泌を抑制的に制御しており、カルシウム濃度増加にともないシナプトタグミンC2Bドメインに結合していたInsP_5・InsP_6が遊離し、カテコラミン分泌を増強する可能性を示唆するものと考えられる。
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Research Products
(1 results)