1998 Fiscal Year Annual Research Report
てんかん欠神発作における細胞内カルシウム制御と遺伝子発現に関する研究
Project/Area Number |
09670108
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
伊藤 芳久 日本大学, 薬学部, 講師 (50151551)
|
Keywords | 欠神発作 / Lethargicマウス / Stargazerマウス / Cyclic AMP responsive element / Activator protein 1 / CGP 46381 / 視床 |
Research Abstract |
本年度は、発症機構が異なると考えらる2系統の遺伝的欠神発作モデルマウスlethargic(lh/lh)およびstargazer(stg/stg)マウスを用い、まず、cyclic AMP responsive element(CRE)およびactivator protein 1(AP-1)DNA結合活性を検討した。Lethargicマウスの両DNA結合活性は、同週齢の発作を生じないコントロール(+/+)マウスに比べ、大脳皮質および視床において有意に高かったが、海馬および小脳では、コントロールマウスとの間に差がなかった。また、両部位におけるこれらDNA結合活性の上昇は、GABA_B拮抗薬のCGP46381(60mg/kg,i.p.)の投与により抑制された。CGP46381の抑制効果は、単回投与よりも連続投与で強かった。Stargazerマウスにおいてもlethargicマウスの場合と同様に大脳皮質および視床におけるCREおよびAP-1 DNA結合活性はコントロールマウスよりも高く、これらDNA結合活性の上昇はCGP46381により抑制された。以上より、大脳皮質と視床におけるCREおよびAP-1 DNA結合活性の上昇が欠神発作に依存したもので、視床-大脳皮質系ニューロンの異常に起因していること、および発作発現にGABA_B受容体が関与することがより明らかとなった。Lethargicマウスの大脳皮質および視床におけるCRE結合活性は、CRE-binding protein(CREB)抗体およびリン酸化CREB(pCREB)抗体によりスーパーシフトし、AP-1 DNA結合活性は、c-Fosおよびc-Jun抗体により抑制された。したがって、CRE結合活性の上昇がCREBによるもので、少なくともその一部はリン酸化されていること、および、AP-1 DNA結合活性にはFos-Jun複合体が関与していることも明らかとなった。本年度は、欠神発作発現時の視床における細胞内Ca^<2+>濃度の変化をin vivo条件下で調べることを計画しており検討を開始したが、測定系に問題が多く詳細な検討ができなかった。現在、測定系の確立を急いでいるところである。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 石毛 久美子: "Pharmacological profiles of absence seizure-induced increases in CRE-and AP-1 DNA-binding activities in γ-butyrolactone-treated mice" Japanese Journal of Psycopharmacology. 18(4). 117-122 (1998)
-
[Publications] 石毛 久美子: "Characterization of absence seizure-dependent cyclic AMP responsive element-and activator protein 1 DNA-binding activities in lethargic (lh/lh) mice" Neuroscience Letters. 印刷中.