1998 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋ATP感受性K及び電位依存性Kチャネルの細胞骨格蛋白による修飾
Project/Area Number |
09670114
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
北村 憲司 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (30112345)
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Keywords | イオンチャネル / Kチャネル / ATP-感受性Kチャネル / 平滑筋 / 細胞骨格 / チャネル活性化 |
Research Abstract |
ウサギ門脈平滑筋細胞のATP感受性Kチャネル電流活性制御における細胞骨格タンパクの影響を検討するため、本年度はsingle channel current recoding法により単一のチャネル電流に対するcytochalasin D、cytochalasin Bおよびphalloidinの効果を観察した。電極内外共に高K液を投与し、Ca依存性Kチャネル遮断薬であるcharybdotoxin(1μM)が存在する環境ではCell-attached patchの条件で記録できるsingle channel電流はなかったが、pinacidil(10〜100μM)を灌流液中に投与するとglibenclamide(10μM)で遮断される約40pSのコンダクタンスを持つsingle channel電流が記録できた。また、このsingle channel電流はcell-attachedからinside-Out patchの条件にすると30秒以内に急速に消失し(run-down)、細胞内側にGDP(100〜300μM)などのヌクレオチドを投与するとGDP濃度に依存した開確率を持つsingle channel電流が記録できた。Pinacidil(100μM)を投与し、cell-attached patch条件で記録されたsingle channel電流はphalloidin(10μM)によってはその活性化に影響を受けなかった。その後同じPatch膜をinside-out patchとしrun downに対するphalloidinの効果を観察したが、phalloidinはrun-downを抑制しなかった。Kチャネル開口薬とGDP存在下で活性化されたsingle channel電流に対してphalloidinは電流活性化作用を持たなかった。同様にcytochalasin B(10μM)およびCytochalasin D(10μM)はsingle-channel電流の振幅や平均開口時間に影響を与えなかった。また、これらの薬物によってチャネル活性が有意に増強したり抑制されることはなかった。以上の結果から、ウサギ門脈平滑筋細胞においてKチャネル開口薬で惹起されるATP感受性Kチャネルは細胞骨格タンパクによって活性を調節される可能性は否定できないが、心筋で観察されたような著明な制御機構としては機能していないと結論した。
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