1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09670121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東原 和成 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00280925)
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Keywords | 嗅覚 / カルシウム / 受容体 / PCR / 匂い / クローニング |
Research Abstract |
本研究では、数十万種類もの匂い物質を異なった匂いとして認識する嗅覚系に焦点を定め、その入力受容機構の解析、人工的再構成系の確立をめざす。個々の嗅神経細胞レベルでの応答とその細胞に発現している受容体と対応づけすることによって、数百といわれる匂い受容体の各々がどのような匂い物質を認識するかが明らかになると思われる。そこで、ある特定の匂い物質に応答するマウス嗅細胞から受容体をクローニングするために、匂い刺激に伴う嗅細胞内カルシウム濃度の上昇を複数の嗅細胞で同時に計測する方法を確立した。すなわち、顕微蛍光画像測定系を組み、カルシウム感受性の蛍光色素fura-2を用いて、匂い応答による細胞内カルシウム濃度上昇を計測した。その時に用いるマウス嗅覚細胞はTissue-printing法によってカバーグラス上に単離し、複数種の匂い物質を連続して投与することにより単離した各々の嗅細胞の応答を同時に計測した。その結果、各々の単一嗅細胞は違った匂い応答パターンを示し、違った匂い受容体の発現を示唆している。 上記のカルシウム測光装置を用いて計測した応答細胞それぞれにどのような匂い受容体が発現しているかを調べるためにsingle cell RT-PCR法を使用した。匂い受容体はイントロンを持たない上、多種からなるスーパーファミリーなので、既知のsingle cell RT-PCR法を改良し、カルシウム測光後の嗅細胞に応用した。概略を述べると、測定終了後、応答細胞をキャピラリーで単離し、既製のスピンカラムを用いてRNAを精製した。粗精製したRNAよりcDNAを作製し、嗅覚受容体に保存されているアミノ酸配列からデザインしたオリゴDNAプライマーを用いてnested polymerase chain reaction法で受容体遺伝子を増幅した。増幅した部分配列を用いて、全長受容体遺伝子をマウス嗅上皮cDNAライブラリーより単離した。
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