1997 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスベクター系を用いたグルタミン酸受容体遺伝子のプロモーター解析
Project/Area Number |
09670160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
川本 進 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80125921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 聡 横浜市立大学, 医学部, 助手 (40275037)
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Keywords | グルタミン酸受容体 / NMDA受容体 / イオンチャネル / ヘルペスウイルスベクター / ウイルスベクター / 中枢神経系培養細胞 / 遺伝子発現 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
生物学的遺伝子導入法の一つである欠損型ヘルペスウイルス(Defective Herpes Simplex Virus)ベクターは、in vivo及びin vitroでヒトを含め、広い宿主領域を持つ向神経性ウイルスベクターであり、非分裂細胞である神経細胞内において長期にわたる発現が可能と推定されている。これまでに我々は、培養中枢神経細胞をはじめ、各種培養細胞において本ベクター系の遺伝子導入と発現について検討してきた。 この神経親和性である単純ヘルペスウイルス1型(Herpes simplex virus 1;ここではHSVと略す)に由来する欠損型非増殖性HSVベクター発現系の一般的な検討を行い、方法論的に改良、発展させることを進め、本系のプロトコールを成書にまとめた(Meth.Mol.BIol.印刷中)。更に、NMDA型グルタミン酸受容体チャネルは、2種(ε,ζ)のサブユニットファミリーにより構成され、εサブユニットの分子的多様性がその機能的多様性の基盤を担っているが、今回、ζ1サブユニットのHSVクローン(HSV/GluRζ1)を構築・解析した。すなわち、HSV/GluRζ1を感染させたRabbit skin cellについて、RT-PCR、ドットブロット及びウェスタンブロット解析により、その高い発現が確認でき、発現したζ1サブユニットタンパク質を分子的、機能的に解析するとともに、εサブユニットと組み合わせてin vivoでの感染実験を計画している。また、悪性グリオーマに対する遺伝子治療用ベクターの可能性も考え、インターフェロンγやインターロイキン2を発現するHSVクローン構築し、グリオーマ細胞、ヌードマウスを用いてin vitro、in vivoで基礎的検討を進めている。 一方、本ベクター系の特長として、DNA操作、ウイルス調節が容易なことや比較的大きな遺伝子(〜15kb)の挿入が可能であることが挙げられる。そこで我々は、2種類の遺伝子を発現させる目的でIRES(internalribosome entry site)を組み込んだdicistronic vector及び、2種類のプロモーターを組み込んだduuble casstte vectorを構築した。発現した2種類のレポーター遺伝子(secreted alkaline phosphatase、β-galactosidase)について解析を行うと共に、神経科学への応用について検討を進めている。
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[Publications] Kawamoto,S.: "Arginine-481 mutation abolishes ligand-binding of the AMPA-selective glutamate receptor channel α1 subunit." Mol.Brain Res.47・1-2. 339-344 (1997)
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[Publications] Uchino,S.: "Analysis of the glycine binding domain of the NMDA receptor channel ζ1 subunit." Neuroreport. 8・2. 445-449 (1997)
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[Publications] 川本,進: "バキュロウイルス発現系によるグルタミン酸受容体チャネルのリガンド結合領域の解析" 生化学. 69・7. 922 (1997)
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[Publications] 服部,聡: "培養中枢神経細胞におけるNMDA型グルタミン酸受容体チャネルの発現・解析" 生化学. 69・7. 923 (1997)
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[Publications] 服部,聡: "ニューロサイエンスラボマニュアル2:神経生物学のための遺伝子導入発現研究法" 中川八郎・吉川和明(シュプリンガーフェアラーク東京), 363 (1997)
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[Publications] Kawamoto,S.: "Methods in Molecular Biology:NMDA Receptor Protocols" Min Li(HumanQ Press)(in press), (1998)