1997 Fiscal Year Annual Research Report
シアリルールイス-X(sLe^x)構造による細胞接着剤制御機構:コア2N-アセチルグルコサミン転移酵素の発現を制御する転写調節因子の解明
Project/Area Number |
09670161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
中村 充 自治医科大学, 医学部, 講師 (20198237)
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Keywords | B細胞分化 / コア2GlcNAcの転移酵素 / シアリルルイスX / 細胞接着 / GATA |
Research Abstract |
セレクチンリガンド糖鎖は、いくつかの糖転移酵素によって生合成され発現する。今までは、特にFucT-VIIこそが重要なキ-ステップであると信じられて来た。しかし、我々はセレクチンリガンドの発現制御がFucT-VIIによってではなく、O-glycanのコア2と呼ばれる基本構造を合成するN-アセチルグルコサミン転移酵素(Core2GnT)によってなされていることを明らかにした。ヒトBリンパ球系細胞では、特に未熟な分化段階のB細胞性白血病細胞株にのみsialyl-Le^xが発現していて、E-セレクチンのみに依存する細胞接着を示す。また発現するsialyl-Le^xはO-結合型の糖蛋白質性のみで、糖脂質性及びN-結合型糖蛋白質性のものはない。このシステムで各糖転移酵素の活性並びに遺伝子発現を解析すると、唯一Core2GnTのみsialyl-Le^x発現にパラレルだった。また、ホルボールエステルによってプレB細胞をより成熟な表面マーカーを持つ細胞へと分化させたとき、唯一Core2GnTのみsialyl-Le^x発現にパラレルにダウンレギュレートされていた。続いて各糖転移酵素遺伝子を強制発現させると、ホルボールエステルによるSialyl-Le^x発現のダウンレギュレーションがブロックされたのはCore2GnT遺伝子を強制発現させた細胞株だけで、他の糖転移酵素遺伝子を強発現させた細胞株は親株と同じ性質を現していた。このCore2GnTという単一遺伝子によるSialyl-Le^x発現制御のシステムにおいて、Core2GnT遺伝子の転写制御を解析したところ、TATAボックス・CAATボックスの70ベースほど上流にある、GATAコンセンサスに結合する転写因子がエンハンサーとして働いていることが判明した。他のシステムではGATAはサプレッサーとして働くことが多く報告されているので、この現象がB細胞系に特別なものか否かを含め、さらに解析を続けている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakamura,M.: "CMP-NenAc : GalB1→4GlcNAc α2→6sialyltransferase catalyzes NenAc transfer to glyco lopids." J.Lipid Res.38. 1795-1806 (1997)
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[Publications] Iwase,S.: "Modulation of E2F activity is linked to interferon-induced growth suppression of hematopoietic cells." J.Biol.Chem.272. 12406-12414 (1997)
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[Publications] Nakamura,M.: "Repid Internalization of exogenous ganglioside GM3 and its metabolism to ceramid in human myelogerousleukomia〜" FEBS Lett.400. 350-354 (1997)
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[Publications] Kikuchi,J.: "Polyploidization and functional matnration are two distinct processes during megakoryocytic differentiation" Blood. 89. 3980-3990 (1997)
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[Publications] 中村 充: "造血幹細胞" 三浦恭定智著,南江堂,東京(印刷中), (1998)
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[Publications] 中村 充: "日本油化学会誌" 日本油化学, 1109-1116 (1997)