1998 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスによる不死化神経細胞株の樹立と神経変性疾患研究への応用
Project/Area Number |
09670162
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
金田 典雄 名城大学, 薬学部, 教授 (00144139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
疋田 清美 名城大学, 薬学部, 助手 (30257654)
横山 峯介 三菱化学生命科学研, 生殖工学開発室, 室長
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Keywords | トランスジェニックマウス / 黒質神経細胞 / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
神経変性疾患は特定の神経細胞群が変性、脱落することにより発症する。遺伝子の異常が見い出されているいくつかの遺伝性変性疾患を除けば、多くは原因が不明で、神経栄養因子の欠乏や未知の神経毒の関与が考えられている。これらの神経変性疾患の解明をめざした基礎的な研究を進める上でモデルとなる神経細胞株の樹立は必要不可欠である。例えば、パーキンソン病は中脳黒質から線条体に投射するドパミン神経の選択的な変性、脱落に伴うドパミン代謝異常であるが、この選択的細胞死のメカニズムを明らかにするためには黒質ドパミン神経の表現型を保持した細胞株の樹立が極めて重要である。黒質のドパミン神経は数も少なくこれを特異的に株化することは一般に困難であるが、本研究ではドパミン神経細胞特異的な遺伝子プロモーターと細胞を不死化させるための癌遺伝子の発現を組み合わせた発生工学的手法による神経細胞の株化を試みている。 平成10年度においては、当初の計画に沿って実験を遂行した。すなわち、ヒトチロシン水酸化酵素(TH)遺伝子プロモーター領域に癌遺伝子であるSV40T抗原温度感受性変異株の遺伝子を連結したDNAを導入したトランスジェニック(Tg)マウス(平成9年度において作製)の胎仔(胎生13日)から中脳を切り出し、神経細胞を培養した。T抗原が活性を示す33℃にて培養し、1週間後に細胞を固定し、T抗原またはTHに対する特異抗体を用いて免疫細胞化学的解析を行った。その結果、いくつかのT抗原陽性細胞のコロニーを見出したが、そこにTH陽性反応を見出すことはできなかった。切り出した中脳の部位に問題がある可能性がある。また、別の問題として、継代培養を続けることによって、神経細胞以外の細胞が増殖し、目的の黒質神経細胞をクローニングすることが困難であることが明らかになった。そこで、薬物による選択を可能にするため、現在、ネオマイシン耐性遺伝子を導入したTgマウスの作製を進めている。このネオマイシン耐性TgマウスとT抗原導入Tgマウスをかけ合わせ、神経細胞の分離を行うことを計画している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] N.KANEDA: "Identification of the Essential Cysteinyl Residue Located in the Active Site of Human Phenylethanolamine N-Methyltransferase" Biochem.Biophys.Res.Commun.249. 405-409 (1998)
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[Publications] Y.IMAISO: "A Novel Mutation of the GTP-Cyclohydrolase I Gene in a Patient with Hereditary Progressive Dystonia/Dopa-Responsive Dystonia" Neurology. 50. 517-519 (1998)