1998 Fiscal Year Annual Research Report
単球性白血病細胞から単離した新規癌遺伝子TRA1の構造と機能解析
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09670166
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
粕壁 隆 埼玉県立がんセンター, 研究所, 主任研究員 (50152658)
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Keywords | Mm TRA1遺伝子 / リン脂質スクランブレース / 癌遺伝子 / 移植性 / 単球性白血病細胞 / 増殖分化 / アポトーシス |
Research Abstract |
これまでに移植性を示すMm細胞亜株で強く発現し、移植性を示さない亜株細胞では殆ど発現していないmRNAに対応する新規のcDNAをクローニングし、MmTRA1a(Mm-1 cell derived trasplantabilityassociated gene1a)と名付けた。また、正常マウスcDNAライブラリーからMmTRA1a関連遺伝子MmTRA1bをクローニングした。両者の塩基配列からMmTRAla蛋白質は、MmTRAlbのN末側がtruncateした型であることが判明した。また、MmTRAlamRNAの発現は分化誘導に伴ない著しく減少し、逆に、MmTRA1bmRNAの発現が誘導された。さらに、移植性を示さない細胞にtruncate型のMmTRA1a遺伝子を強制的に発現させると移植性を示す細胞に変化することを示した。しかし、これらの詳細な性質および作用機作は不明である。また、ヒトホモローグについても不明である。そこで、今年度は以下に示す点について明らかにした。 1. MmTRA1のヒト相同遺伝子をクローニングするために、ヒト単球性白血病細胞U937cDNAライブラリーをスクリーニングし、約2.1kbのcDNAを単離した。 2. このcDNA配列から予想される蛋白質は正常型であるマウスMmTRA1bと78%同一であり、マウスMmTRA1bのヒトホモローグであることが判明した。 3. in situ hybridizationからヒトMmTRA1遺伝子の染色体配座が3q23である事を決定した。4. ヒトMmTRA1bmRNAの発現はマウスの場合と同様に分化誘導物質処理によって増加した。 5. MmTRA1bは、最近クローニングが報告され、アポトーシス関連物質として注目される細胞膜リン脂質scramblaseと一致する事が判明した。 このように今年度の研究では、正常型であるMmTRA1bのヒトホモローグをクローニングし、その染色体配座を決定し、その遺伝子発現についても明らかにした。さらに、このMmTRA1bはリン脂質scramblaseと一致することが明らかになった。
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[Publications] Kasukabe,T: "Identification of human normal counterpart (MmTRA1b) of mouse leukemogenesis-associated gene (MmTRA1a) product as plasma membrane phospholipid scramblase and chromosome mapping of the human MmTRA1b/phospholipid scramblase gene." Biochem.Biophys.Res.Commun.249.2. 449-455 (1998)