1998 Fiscal Year Annual Research Report
老年性痴呆関連糖タンパク質の糖鎖異常に関する生化学的研究
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09670167
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
遠藤 玉夫 財団法人 東京都老人総合研究所, 糖鎖生物学部門, 研究室長 (30168827)
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Keywords | アミロイド前駆タンパク / シアル酸 / 糖鎖構造 / 老年性痴呆 / 質量分析計 / 生理的老化 / 糖タンパク質 |
Research Abstract |
CHO細胞で発現させたAPP(アミロイド前駆体タンパク質)のN型およびO型糖鎖について解析した.ヒドラジン分解によってN型糖鎖を遊離させた後、放射性ホウ素化水素ナトリウムによって還元標識した。こうして得た標識オリゴ糖の混合物をMono Qを用いた陰イオン交換カラムより分画すると、約97%がシアル酸を持つことが分かった。さらにレクチンカラム及びゲル瀘過カラムにて個々の糖鎖を分画後、特異性の高い糖鎖分解酵素による逐次消化によりその糖鎖構造を推定した。その結果、母核にフコースを持つあるいは持たない複合型2本鎖、3本鎖構造であることが判明した。O型糖鎖はシアル酸をもつGal β1→3GalNAc構造であることが分かった。微量糖タンパク質糖鎖を解析するために質量分析計を利用した分析技術の開発も行なった。その結果、約10フェントモルのオリゴ糖で良好なスペクトルを得ることができた。また、この方法では複数の検体を同時に測定でき、かつ各々の分析も10分以内で可能とし大幅に時間を短縮することができた。今後はこうした一連の分析手法を用いることにより、少量しか得られない貴重な老年性痴呆関連糖タンパク質の糖鎖についての解析が可能になった。一方、痴呆など病的老化機構をより理解するために生埋的老化に関する研究をラットをモデルとして進めた結果、脳糖タンパク質は加齢に伴い大きく変化することが分かった。さらに、これらの糖タンパク質は脳の各部位で異なった分布をしており、興味深いことにその分布状態が加齢に伴い変化することも明らかにした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yuji Sato: "Comparison of lectin-binding patterns between young adult and older rat glycoproteins in the brain" Glycoconjugate J.(印刷中).
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[Publications] Yuji Sato: "Differential expression of sialoglycoproteins in the rat hippocampus and its changes during aging" Neuroscience Lett.(印刷中).
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[Publications] Yuji Sato: "Evidence for the presence of major peripheral myelin glycoprotein P_<o2> in mammalian spinal cord and a change of its glycoprotein state during aging" Glycobiology. (印刷中).
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[Publications] MegumiT-Hiruma: "Detection of novel carbohydrate binding activity of interleukin-1" J.Biol.Chem.(印刷中).
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[Publications] Tasuku Sasaki: "Detection of O-mannosyl glycans in rabbit skeletal muscle α-dystroglycan" Biochim.Biophys.Acta. 1425・3. 599-606 (1998)
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[Publications] 遠藤玉夫: "糖鎖生物学" 共立出版, 7 (1998)
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[Publications] 遠藤玉夫: "Annual Review 神経 1998" 中外医学社, 8 (1998)