1998 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患におけるエトリックス分解酸素の発現解析
Project/Area Number |
09670174
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大谷 明夫 東北大学, 医学部, 助教授 (30133987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 浩平 東北大学, 医学部, 助手 (20271900)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / マトリックスメタロプロティナーゼ / 組織再構築 |
Research Abstract |
マトリックスメタロプロテアーゼ(以下MMP)はマトリックス分解酵素群の代表であり、種々の細胞外マトリックスを分解することにより、組織発生、組織再構築、そして癌細胞の浸潤転移の際に重要な機能を営んでいる。炎症性腸疾患は原因不明の腸管における慢性炎症性病態である。現在マトリックス分解酵素の炎症における意義は、当初の組織破壊に力点をおく考察からしだいに組織再構築へと観点が移ってきている。本研究においては、膜型マトリックスメタロプロテアーゼ(MT-MMP),MMP-1,MMP-2,MMP-8,MMP-9,TIMP-1,TIMP-2を取り上げ、その組織内局在を検討した。もっとも高発現部位は潰瘍形成部であり、MMP-1,MMP-8,MMP-9が集中し、かつTIMP-1も同様であった。細胞同定は二重免疫染色によった。MMP-1は線維芽細胞、MMP-8は好中球、MMP-9はおもに好中球とマクロファージ、TIMP-1は線維芽細胞であった。この領域では小静脈の中膜平滑筋にもMMP-1,TIMP-1,I型プロコラーゲンの陽性像をみいだした。また活動性の線維化巣ではMMP-1,TIMP-2,I型コラーゲンの発現を線維芽細胞にみた。潰瘍底では潰瘍形成の結果におこる高度な炎症に対する反応としてこれらマトリックス分解酵素が発現され、I型コラーゲンの発現があるにもかかわらず、マトリックスは沈着せず、炎症巣が形成されると解釈された。また、線維化のおこる領域ではMMP-1,MMP-8,MMP-9が抑制され、コラーゲン沈着に傾くと考えられた。以上から炎症性腸疾患ではマトリックス分解酵素は組織破壊よりもむしろ組織再構築に関与し、かつ、それは炎症現象の維持あるいは線維化による修復へ密接に関与していると判断された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Migitaら: "Differing expression of MMP_5-1 and-9 and urokinase receptor between diffuse-and intertinal type gastric carcinoma" Int.J.Cancer. 84. 74-79 (1999)
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[Publications] Akahaneら: "Stromal expression of urokinase-type plasminugen activator receptor (UPAR) is associated with invosive growth" Liver. 18. 414-419 (1998)
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[Publications] Ohtani, H.: "Stromal reaction in cancer tissue" Pathol, Int.48. 1-9 (1998)
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[Publications] Ohnoら: "Eosinophils as a saurce of matrix metalloproteinase-9 in asthmatic airway inflammation" Am.J.Res.Cell.Mol.Biol.16. 212-219 (1997)