Research Abstract |
(1)臨床検体 ヒト食道扁平上皮がん34例をCGHによって解析した。DNAコピー数の増加を頻度の高いところでは、3q(75%),8q23-qter(50%),11q13(44%),5p14-pter(25%),20q(25%),7q(22%),2p(19%)に、減少を18q(58%),3p(50%),9p(44%),5q14-23(39%),4q(33%),13q(22%),11q22-qter(19%)にそれぞれ認めた。また、DNAの増幅(高度な増加)は11q13,2q12,7q21,20q11.2に検出された。臨床病理学的事項との対比においては、リンパ節転移は8q23-qter(p<0.0005),20q(p<0.02)のコピー数の増加と11q22(p<0.05)の減少と有意に相関していた。すなわち、このことは生検組織にてもリンパ節転移の可能性が診断できる事を示唆している。さらに、3q,11q13の増加、18q,3p,9p,5q14-23,4qの減少は早期がんと進行がんの両者にみられ、発がんに関係する変化と考えられた。 (2)培養細胞株 6株の食道扁平上皮がん培養株のCGH解析を行った。3q,5p,7p,8q,11q,13q,17p,20q,XqにおけるDNAコピー数の増加と4q,9q,18qにおける減少は検索した6細胞株に共通した変化であった。しかしながら、7p12-13,11q14-22,11q22-qterでの増加と4p,8p,11p14-qterの減少は血清非要求株のみに見られた。一方、12p,20pの増加と3p,5qの減少は血清要求株のみに検出された。増殖能といった細胞の特性が細胞遺伝学的変化と関連していることが示唆された。
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