1998 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体線種の発生に関与する癌抑制遺伝子変異およびその遺伝子産物発現異常の解析
Project/Area Number |
09670188
|
Research Institution | University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐野 壽昭 徳島大学, 医学部, 教授 (80154128)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 勝彦 徳島大学, 医学部, 助教授 (90201863)
|
Keywords | 下垂体線種 / 腫瘍抑制遺伝子 / 細胞周期関連蛋白 / 免疫組織化学 / 遺伝子変異 / MEN1遺伝子 / 視床下部ホルモン |
Research Abstract |
多発性内分泌腫瘍症1型の原因遺伝子(MEN1)遺伝子は腫瘍抑制遺伝子とみなされており、MEN1型の下垂体腺腫ではその異常が見られる。MEN1型ではない、散発性の下垂体腺腫におけるMEN1遺伝子の不活性化の有無について、下垂体腺腫散発例31例を対象に検討した。 MEN1遺伝子の存在する11q13領域のloss of heterozygosity(LOH)は1例のみに見られ、また、2例では第11番染色体のトリソミーがfluorescence in situ hybridization(FISH)法による検索で確認された。MEN1遺伝子の突然変異は、11q13のLOHがあった1例にPCR-SSCP法にて検出されたが、残る30例には異常を認めなかった。以上の成績からMEN1遺伝子の不活性化は散発性の下垂体腺腫の発生原因としてはまれと推測され、11番染色体のトリソミーを含む他の原因によるものと考えられた。 下垂体腺腫の発生増殖には視床下部ホルモンの関与が従来より注目されているが、44例のACTH産生下垂体腺腫における腫瘍由来のcorticotropin-releasing hormone(CRH)の発現と腫瘍増殖能について検討した所、in situ hybridization法によるCRHmRNAの発現量とMIB-1標識率には強い相関性(p<0.0001)のあることが示された。この成績は腫瘍に由来するCRHがautocrine的な機序でACTH産生腺腫の増殖に関与することを示唆している。
|
Research Products
(1 results)