1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト癌腫での癌関連遺伝子産物発現とDNAミスマッチ修復異常及び免疫系との関連
Project/Area Number |
09670190
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
降幡 睦夫 高知医科大学, 医学部, 助手 (10209158)
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Keywords | 食道癌 / 移行上皮癌 / p57 / p53 / hMSH6 |
Research Abstract |
外科的に切除された92例のヒト食道扁平上皮癌にて、cyclinD1、E抗体及びp57抗体を用いた免疫組織化学的検索を行い、癌細胞周期での各々の発現状況を患者の予後及び臨床病理学的因子との関連において統計学的に比較検討した。食道癌では癌細胞において核主体のp57過剰発現を50%以上の症例に認め、これら患者はcyclin D1過剰発現を同時に伴うも、患者予後に関しては有為差を見いだし得ず、p57発現の予後因子としての役割は他の細胞周期制御因子に比較して軽度であると考えた。ヒト腎盂尿管及び膀胱癌等の移行上皮癌においては、88例の腫瘍組織においてミスマッチ修復遺伝子のhMSH6に関してその遺伝子全エクソン(1-10)に関してプライマーを作製し、PCRにて増幅後ダイレクトシークエンスにて遺伝子解析を施行した。これら88例においては、p53遺伝子のエクソン5-8における遺伝子解析も同様に施行した。hMSH6遺伝子解析では、3例にアミノ酸置換を伴う点突然変異を認め、p53に関しては22例にて変異を見たが、hMSH6-p53両者の同時異常は認めなかった。hMSH6遺伝子異常を伴う3例は、移行上皮癌以外の腫瘍の合併が遺伝子変異を伴わない症例と比較して有意に高い傾向を示したが(P<0.05)、遺伝子の不安定性をこれら3症例にて検討したところ不安定性は示さなかった。以上より、移行上皮癌に関してはhMSH6遺伝子異常は頻度が低く、p53遺伝子異常に影響を与えている可能性は低い事が判明した。さらにはhMSH6遺伝子異常を伴う症例は、重複腫瘍の合併が遺伝子変異を伴わない症例と比較して高い傾向が示され、hMSH6遺伝子異常の腫瘍動態における役割の一部が示唆される結果となった。今後は今回検討できなかった代表的なミスマッチ修復遺伝子であるhHLH1遺伝子の異常を検討し、移行上皮癌におけるミスマッチ修復遺伝子異常に基づく癌関連遺伝子の遺伝子異常につき総括を行う。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Chen B-K.et al.: "Orerexpression of *-Met pro*in in human・・・"Pathology:Research and Practice. 195. 427-433 (1999)
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[Publications] Sonobe H.et al.: "A new human sy**al sa*ma cell line HS-SY-3・・・"International Jouenal of Cancer. 82. 459-464 (1999)
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[Publications] Liang S-B.et al.: "Sun-exposure-and aging-dependent p53protein・・・"Virchows Archiv. 434. 193-199 (1999)
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[Publications] Chen B-K et al: "Co-overexpression of p53 protein and・・・"International Jouenal of Oncology. 15. 893-898 (1999)
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[Publications] Furihata M.et al.: "Missense mutation of the hMSH6 and p53・・・"International Jouenal of Oncology. 16. 491-496 (2000)
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[Publications] Liang S-B.et al.: "Orerexpression of cyclinD1 in ・・・"Virchows Archiv. (印刷中). (2000)
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[Publications] 新津洋司郎、横田淳(編集): "臨床家のためのがん遺伝子/がん抑制遺伝子"南江堂. 198 (1999)
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[Publications] 長村義之、笹野公伸(編集): "病理と臨床臨時増刊号2000,免疫組織化学とin situ・・・"文光堂. (印刷中) (2000)