1997 Fiscal Year Annual Research Report
大腸表面型早期癌の遺伝子学的異常と発育進展様式および悪性度との関連
Project/Area Number |
09670191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
八尾 隆史 九州大学, 医学部, 講師 (20243933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大屋 正文 九州大学, 医学部, 助手 (40274435)
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Keywords | 大腸 / 癌 / 腺腫 / 鋸歯状腺腫 / pS2 / human gastric mucin / p53 |
Research Abstract |
当教室に登録されている1652個の大腸上皮性ポリ-プ中から44個(2.7%)の鋸歯状腺腫を抽出した。それら44個の鋸歯状腺腫は6個(14%)において粘膜内癌を認めた。パラフィンブロックが使用できた鋸歯状腺腫34個(腺腫内癌5個)に粘液染色(galactose-oxidase-Scchiff:GOS)と免疫染色(pS2,human gastric mucin,p53)を施行し細胞分化と癌化におけるp53蛋白の関与を検討した。対照として化生性ポリ-プ18個、腺管腺腫16個、腺癌12個を用いた。鋸歯状腺腫全患者の年齢は32〜86歳(平均62歳)で、性差は男:女=31:13。発生部位は右側:左側結腸=13:31。長径は3〜26mm(平均9mm)。腺腫内癌の例は全て男性で年齢は平均55歳と若く、大きさは7〜16mm(平均13mm)であった。胃腺窩上皮に局在を示すpS2とhuman gastric mucinは化生性ポリ-プと鋸歯状腺腫ほぼ全例においてびまん性に陽性であった。p53蛋白は癌を伴わない鋸歯状線腫では45%(13/29)に散在性陽性、17%(5/29)に部分的陽性であり、以前検討した管状あるいは絨毛腺腫よりp53蛋白発現率が高かった。癌を伴う鋸歯状腺腫の癌成分では60%(3/5)がびまん性陽性であった。大腸鋸歯状腺腫は化生性ポリ-プと同様に胃の腺窩上皮への分化傾向があることが示唆された。またp53蛋白が高率に発現しており他の組織型の腺腫と癌化機序が異なる可能性が考えられた。 今後は、鋸歯状腺腫および鋸歯状腺腫由来の癌におけるp53を含む遺伝子異常を腺管腺腫や絨毛腺腫由来の癌との比較を行い、それらの腫瘍の発育進展様式を解明する。
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