1997 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体腎炎における細胞外基質発現の動的調節機構の解析
Project/Area Number |
09670192
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
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Keywords | Kidney / Glomerulosclerosis / Renal fibrosis / Aging / Gentamicin / Collagen / HSP47 |
Research Abstract |
各種の腎疾患の進行に糸球体硬化と間質の線維化は重大な役割を果たしているが、腎組織における硬化/線維化には多くの因子が関与している。その因子として新たに注目されているHeat shock protein 47(HSP47)の線維化機序における役割について、老化モデル(Fischer 344 ラット)の腎変化とゲンタマイシン腎障害を用いて検討した。 Fischer 344(F 344)ラットについては、雄を用いて経時的に観察した。ゲンタマイシン腎障害については、雄のWister ratに、250mg/kg BW/dayのゲンタマイシンを2日間、皮下注にて作成した。免疫組織化学的には、α-smooth muscle actin(SMA),desmin,vimentin,collagen(type I,II,III),HSP47の発現を検討した。また、HSP47と他の抗体との二重染色を行い、HSP47の局在とその環境の特性についても検討した。F344とゲンタマイシン腎障害のいずれにおいても、硝子化糸球体と間質の線維化部において、HSP47の発現が強くなった。また、α-SMAは間質に強く発現し、vimentinは線維化を示す間質とその周囲の尿細管上皮に強く発現した。HSP47との二重染色では、HSP47発現細胞の局在は表現型転換細胞、即ち、SMC陽性の間質細胞やvimentin陽性の尿細管上皮細胞と一致していた。 今回の結果より、老化モデルラットやゲンタマイシン腎障害の硬化/線維化過程においては、α-SMA陽性の間質細胞やvimentin陽性の尿細管上皮細胞の出現などの間質尿細管細胞の形質転換が惹起され、これらの細胞がHSP47を発現し、線維化に関与するすると考えられた。
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[Publications] Razzaque et al.: "Age-related nephropathy in the Fischer 344 rat is associated with overexpression of collagens and collagen-binding heat shock protein 47" Cell and Tissue Research. (in press). (1998)
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[Publications] Cheng et al.: "Expression of the Heat Shock Protein 47 in Gentamicin-Treated Rat Kidneys" International Journal of Experimental Pathology. (in press). (1998)