1998 Fiscal Year Annual Research Report
慢性甲状腺炎の甲状腺発癌促進作用におけるテロメア長・テロメラーゼ活性の果たす役割
Project/Area Number |
09670202
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Research Institution | KITASATO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡安 勲 北里大学, 医学部・病理学, 教授 (20014342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 哲夫 北里大学, 医学部・病理学, 助手 (90286352)
三枝 信 北里大学, 医学部・病理学, 講師 (00265711)
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Keywords | 甲状腺炎 / 甲状腺癌 / テロメレーズ / テロメア / アポトーシス |
Research Abstract |
1、 甲状腺炎、甲状腺腺腫及び甲状腺乳頭癌症例の、1、TRAP assayによるテロメレーズ活性、2、サザーンブロテイング法によるtelomere restriction fragment length(TRF)assayによるテロメア長を検索し、3、更にKi-67免疫染色による細胞増殖を観察し、また、4、癌遺伝子関連蛋白p53、Bcl-2の発現を免疫染色によって評価した結果、以下の如き結果を得た。 1) 甲状腺乳頭癌において、テロメレーズ活性は61、5%の症例で陽性であり、癌の分化、増殖、進展に有意に連関していることが判明した。 2) リンパ球性甲状腺炎におけるテロメレーズ活性が陽性結果が得られたが、浸潤するリンパ球の活性をみていると判断された。 3) テロメレーズ活性陽性の甲状腺癌のテロメア長はテロメレーズ活性陰性の癌よりも短縮の傾向がみとめられた。 4) 癌関連蛋白発現とテロメレーズ活性との有意な関連性はみとめられなかった。 2、 これらの結果を確認すべく、大腸癌におけるテロメレーズ活性を測定した結果、 1) 大腸癌において、テロメレーズ活性は51、4%の症例で陽性であり、癌の分化、増殖、進展に有意に連関していることが判明した。 2) 癌関連蛋白発現とテロメレーズ活性との有意な関連性はみとめられなかった。 以上より、今回の検索では、慢性リンパ球性甲状腺炎-甲状腺濾胞上皮細胞のテロメア長短縮-遺伝子不安定さの亢進-発癌という連関を直接的には証明できなかったが、その可能性をつよく示唆する結果を得た。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Okayasu,I.et al: "Telorase activity significantly correlates with cell differentiation proliferation and lymph node metastasis in colorectal carcinomas" J Cancer Res Clin Onco1. 124. 444-449 (1998)
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[Publications] Okayasu,I.et al: "p53 and p21^<WAF1> expression in lymphocytic thyroiditis and thyroid tumors" Clin Immunol Immunopathol. 88・2. 183-191 (1998)