1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09670203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 雄一 北里大学, 医学部, 助教授 (30178793)
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Keywords | in situ hybridization / IL-6 / 肺癌 |
Research Abstract |
ジゴキシゲニンを標識したcRNAプローブを用いたin situ hybridization (ISH)法を用いて4%パラホルムアルデヒド固定パラフィン包埋切片を用いて42例の各種肺癌組織におけるinterleukin-6 (IL-6) mRNAの発現を検討した。その結果、8例の肺癌組織(4例の腺癌、3例の扁平上皮癌、1例の腺扁平上皮癌)にIL-6 mRNAの発現を認めた。このうち、1例の扁平上皮癌を除き、他の7例では腫瘍胞巣周囲のに浸潤している炎症性細胞にIL-6 mRNAの発現を認めた。しかし、腫瘍胞巣内のリンパ球や組織球には発現が認められなかった。この結果より、この7例での発現は腫瘍とは無関係に、二次的反応(炎症)に応じて発現している可能性が考えられた。また、1例の扁平上皮癌では散在性に腫瘍細胞の胞体内にIL-6 mRNAの発現が認められた。この症例では、腫瘍胞巣周囲の炎症性細胞にはIL-6mRNAの発現は認められなかった。腫瘍産生サイトカイン(IL-6,LIF等)は癌患者の悪液質の原因の一つとして注目されている。これら腫瘍産生サイトカインを出来るだけ早く捕まえることにより、腫瘍の増殖や患者のquality of lifeの改善に役立つ可能性がある。しかし、手術症例を用いた検討では42例中1例のみであり、さらなるISH法の感度の上昇が必要と思われた。しかし、この検討からIL-6 mRNAの発現には腫瘍に関連したものと直接は関連性のないものの二種類があり、これらを区別して検討する必要があることが確認された。IL-6 mRNAの発現量の定量はcompetitive RT-PCR法を用いて検討する予定である。また、感度のさらなる上昇を目指してin situ RT-PCR法やtyramideを用いた方法を試行している。来年度以降、これらの結果を中心に報告する予定である。
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