1998 Fiscal Year Annual Research Report
定量的画像解析システムによる機能性エンドセリン受容体と遺伝子発現細胞の比較検討
Project/Area Number |
09670229
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
重松 和人 長崎大学, 医学部, 助教授 (20154205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 正美 長崎大学, 医学部, 教授 (20136641)
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Keywords | Endothelin / receptor / receptor autoradiography / mRNA / in situ hybridigation |
Research Abstract |
エンドセリン(ET)受容体の機能的受容体タンパクおよびそのmRNAの分布を検索した。ラット脳内では、広汎にET_B受容体リガンド活性部位(以下ET_B活性)が存在するが、限局的にET_A受容体リガンド活性部位(以下ET_A活性)も検出することが出来る。ET_B活性が最も高密度に検出出来るのは脳室周囲器官や脈絡叢であり、これら部位ではET_A活性も共存する。次いでET_B活性が高いのは、視索上核、分界条、橋核、上丘、小脳プルキンエ細胞層、弧束核などであり、一方、ET_A活性は下垂体前葉、下部脳幹部に多量に存在していた。神経細胞の場合、通常の細胞と異なり、樹状突起や軸索を有しているため、神経末端部位における最終局在部位と受容体タンパクを合成する細胞核周囲とは解剖学的に隔たっていることが多く、mRNAの局在を解析すると、より詳細な情報を得ることが出来る。例えば、ET_A活性は、最終野、弧束核、迷走神経背則核を包括する広い領域に存在しているが、そのmRNAは最終野に限局しており、最終野から、弧束核、迷走神経背則核に投射するET_Aニューロンの存在が伺えた。 遺伝子レベルでは、二種類のET受容体しか報告されていないが、薬学的なアプローチでは他の亜型の存在も報告されており、下垂体組織にて、検討を加えた。ET_A受容体mRNAは前葉に強く発現しており、ET_B受容体mRNAはRathke'pouchに強く、前・後葉には弱く発現していた。ET_A、ET_B受容体の両方に結合するET-1を用いた結合実験では、BQ-123(ET_A antagonist)はET-1結合を阻害するが、ET_BのagonistまたはantagonistはBQ-123の存在下でのみ結合抑制効果を発揮した。この事は、ET_B受容体がET〓A受容体の助けでET-1を認識し、ET_A-ET_B受容体heterodimerを形成している可能性が考えられた。
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[Publications] Himeno A,et al.: "Endothelin-1 binding to endothelin receptors in the rat anterion pituitary gland:Interaction in the recognition of endothelin-1 between ETA and ETB receptors" Cell.Mol.Neurobiol.18. 447-452 (1998)
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[Publications] 重松和人 他: "脳内エンドセリンとその受容体" Clinical Neuroscience. 16. 1220-1221 (1998)