1997 Fiscal Year Annual Research Report
ギャップ結合細胞間コミュニケーション阻害による神経分化の抑制に関する研究
Project/Area Number |
09670233
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小山田 ゆみ子 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (40231245)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山田 正人 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (30183255)
|
Keywords | 細胞間コミュニケーション / ギャップ結合 / コネキシン / 神経分化 / ES細胞 / マイクロインジェクション |
Research Abstract |
神経初期分化過程におけるギャップ結合細胞間コミュニケーション(GJIC)の変化を明らかにする目的で、多分化能を有するマウスembryonic stem (ES)細胞をin vitroで神経細胞に分化誘導する系を確立し、GJICを検討した。 1.マウスES細胞を用いたin vitro神経系分化モデル作成 (1)未分化ES細胞を8日間浮遊培養、そのうち後半の4日間All-trans retinoic acid(500nM)で処理し、その後接着培養を行うことにより、接着培養6日目に90%以上のembryoid bodyで、neuriteの形成するモデルを確立した。 (2)神経系特異的マーカーの免疫組織化学的検討 接着培養1日目では、神経上皮の段階から発現するA2B5は陽性であったが、分化した神経のマーカーであるmicrotubuleーassociated protein 2(MAP2)は、陰性であった。 接着培養3日目以降は、MAP2,neurofilament M subunit、β-tubulin の陽性シグナルを認めた。 2.In vitro 神経系分化モデルにおけるギャップ結合タンパク質(connexin,Cx)の発現の免疫組織化学的検討 神経への分化を示した細胞には、Cx26の発現が認められた。 3.In vitro神経系分化モデルにおけるマイクロインジェクション・トレーサー移行法を用いたGJICの測定 接着培養1日目のA2B5陽性コロニーでは、コロニー全体へのトレーサーの広がりを示したが、A2B5陽性コロニーと周辺の扁平なA2B5陰性細胞との間にはGJICが認められなかった。接着培養3日目以降では、トレーサーの広がりはコロニー内の一部に留まった。以上の結果より、in vitroでの神経細胞への初期分化過程において、GJICのコンパートメント形成と機能の低下が生じることが明らかとなった。
|
-
[Publications] Saitoh,M.: "Changes in the expression of gap junction proteins(connexins)in hamster tongue epithelium during wound healing and carcinogenesis" Carcinogenesis. 18. 1319-1328 (1997)
-
[Publications] Oyamada,M.: "Gap junctions" Ios press Omsha, 385 (1998)