1997 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞増殖因子ファミリーの肝細胞癌の発生及び進展機序への関与について-特に、ヘパリン結合性上皮細胞増殖因子について-
Project/Area Number |
09670242
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
矢野 博久 久留米大学, 医学部, 講師 (40220206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神代 正道 久留米大学, 医学部, 教授 (90080580)
小笠原 幸子 久留米大学, 医学部, 助手 (40258405)
家村 昭日朗 久留米大学, 医学部, 助手 (40212724)
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Keywords | ヘパリン結合性上皮細胞増殖因子様増殖因子 / ヘパリン / 肝癌 / 細胞株 / オートクライン / ジャクスタクライン / パラクライン |
Research Abstract |
ヘパリン結合性上皮細胞増殖因子様増殖因子(heparin-binding epidermal growth factor-like growth factor[HB-EGF])と、その受容体であるEGF receptor(EGFR)の肝癌における発現と癌細胞増殖における役割をin vitroで検討するため、6種類の肝細胞癌株を用いて実験を進めている。現在までに全ての細胞株において、1)タンパクレベルでHB-EGFの発現は認めないが、EGFRの発現は認めており、2)培地中にHB-EGFを加えることにより細胞増殖促進効果が見られ、ヘパリンを添加することにより、その増殖促進効果はさらに増大することが分かった。また、この外因性のHB-EGFによる細胞増殖促進効果は、他のEGF family(EGF、TGF-α、amphiregulin)によるものよりも強く、癌と間質との相互作用においてHB-EGFが重要な役割を担っている可能性が考えられる。今後、間質細胞と肝癌細胞株との共培養等を用いてパラクライン機構の解明を行い、またオートクライン、ジャクスタクライン機構の可能性を確かめるため肝癌細胞株でのHB-EGFの核酸レベルでの発現を検索したい。 また、肝細胞癌組織中のHB-EGFの発現を検討するため、現在免疫組織化学用抗体を作製中である。すなわち、ヒトHB-EGF cDNAよりグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)フュージョンHB-EGFタンパクを作成、これを家兎に免疫し、現在3種類のウサギ抗GST-HBEGF血清を得ている。今後これをさらに精製し、ポリクローナル抗体を作製、前癌病変や分化度の異なる肝細胞癌組織におけるHB-EGFの発現を免疫組織化学的に詳細に検討する予定である。
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