1997 Fiscal Year Annual Research Report
ライム病ボレリアに対するマダニの感受性、その鍵となる分子の探索
Project/Area Number |
09670251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
中尾 稔 旭川医科大学, 医学部・医学科, 助手 (70155670)
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Keywords | マダニ / ライム病ボレリア / 感受性 / プラスミド |
Research Abstract |
ライム病に関連したボレリアは様々な種類があり、各々特定なマダニを媒介者とする。本来の宿主でないマダニにボレリアを取り込ませた場合、ボレリアはそのマダニを媒介者として利用できない。ボレリアの菌体表層蛋白は宿主細胞への接着や進入に重要な役割を果たしていることが予想されており、これらは線状プラスミドや環状プラスミドにその遺伝情報がコードされている。本研究では、ボレリアのプラスミドを人為的に置換し、マダニへの感受性試験を実施することを着想した。この実験を行うためには、プラスミドの同定と精製、ならびに培養によりプラスミド脱落ミュータントを選別する必要がある。平成9年度は、Borrelia burgdorferi sensu stricto北米株(297株、NCH-1株)とBorrelia garinii日本株(JEM6株)の6カ月に及ぶ長期継代培養を行い、マウスへの感染性が失われた株を確立することができた。また、ボレリアは通常液体培地で増殖させるが、これではクローニングが困難なため、寒天培地上で微好気培養を行い、コロニーを形成させる技術を確立することができた。また、パルスフィールド電気泳動とサザンブロット法によりプラスミドの型分けができるように準備を進めている。従って、平成10年度にはエレクトロポレーションによるプラスミドの置換が行えるであろう。なお、マダニの感受性試験を野外分離株を用いて実施したところ、韓国産タネガタマダニから分離されたBorrelia afzeliiは日本産シュルツェマダニをベクターとすることが可能で、マダニ両種のミトコンドリア16SrRNA遺伝子を比較したところ、極めて近縁な種であることが判明した。従って、媒介マダニの系統関係とボレリアの種分化は密接な関係があると予想できた。
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