1997 Fiscal Year Annual Research Report
寄生虫感染における腸管杯細胞からの粘液分泌調節機構
Project/Area Number |
09670252
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
阿部 達也 秋田大学, 医学部, 助教授 (80128363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 和人 秋田大学, 医学部, 助手 (60006731)
吉村 堅太郎 秋田大学, 医学部, 教授 (90053058)
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Keywords | 杯細胞 / 粘液 / ムシン / N.brasiliensis / マウス / 寄生虫 / 腸管 / サイトカイン |
Research Abstract |
N.brasiliensis(Nb)感染マウスでの粘液分泌調節機構の研究には,粘液ムシンの定量が必要となる。抗体でムシンを検出するために,感染マウスの小腸粘膜を掻き取って得た粘液からCsCl密度勾配遠心,Sepharose CL-2B カラムでムシンを精製し,アジュバンドと共にウサギに免疫した。しかし,ムシンに対する十分な抗体価は得られなかった。そこで,slot-blot装置を用いてムシンをニトロセルロース膜に結合させ,PAS染色とperoxidase標識soybean lectinで検出する方法を比較した。測定の安定性と扱いの面で1ectinを用いる方法が優れていた。ムシン量を対数プロットすることで0.3-10 mg/mlの範囲で比較的良い容量曲線が得られた。ムシンの定量方法は改良の余地があるが,とりあえず測定は可能となった。 マウスの小腸から粘液を掻き取り,0.1%Tween-PBSでホモジナイズし,遠心上清のムシン量を測定した。Nb感染マウスの腸管ムシン量は感染5日目に増加し,7日目にはピークとなり,9日目にはほぼ正常レベルに減少した。これは組織学的な杯細胞の変化とよく一致した。nu/nuマウスにNbを感染させた場合には,腸管ムシン量の増加がnu/+マウスに比べ遅い傾向があるが,7日目にはほぼ同じ程度になり,ムシンの分泌はヌードマウスでも本質的な違いは無いものと思われた。Nb感染の前日にcyclophophamideまたは抗CD4抗体で処理したマウスの腸管ムシン量はコントロールと差がなかった。ナイロンカラムとPercollで調整したマウスの腸管細胞をConAと共に培養すると,上清中にムシンの増加が見られた。以上のことから,Nb感染によるムシン量の増加はT細胞の関与は少ないが何らかの免疫応答が関与するものと思われる。ムシンの抽出方法に問題が残るので,今後さらに検討が必要である。
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