1998 Fiscal Year Annual Research Report
マンソン裂頭条虫の擬充尾虫が産生する生理活性物質についての研究
Project/Area Number |
09670258
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
平井 和光 鳥取大学, 医学部, 教授 (20093940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 宗嗣 鳥取大学, 医学部, 助教授 (60111126)
佐藤 建三 鳥取大学, 医学部, 教授 (40113196)
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Keywords | 条虫 / マンソン裂頭条虫 / 生理活性物質 / 成長ホルモン / プロテアーゼ / トリプシン・インヒビター / cDNA / 融合蛋白 |
Research Abstract |
1. マンソン裂頭条虫擬充尾虫が産生する成長ホルモン様因子(PGF)の機能について この擬充尾虫は、哺乳類の中間宿主の消化管内で消化されず、消化酵素抵抗性を示すことからトリプシン活性を抑制する物質の存在を観察した。カゼインを基質にしてブタ・トリプシン活性を測定する系を虫体のtriton X-100を含む緩衝液での抽出液が抑制した。そこで、虫体抽出液をTOYOPEARL HW-55にてゲル濾過、Mono-Qによるイオン交換クロマトグラフィー、Superdex 75HR/30カラムによるゲル濾過の3ステップの処理によって、トリブシン活性抑制物質が精製され、活性が約50倍に濃縮された。そして、この物質は、SDS-PAGEで還元状態で27kDaの分子サイズを有し、Immunoblot分析にてPGFである27kDa蛋白の抗-27kDa monoclonal抗体と交叉反応し、さらに抗-ヒト成長ホルモン・モノクローナル抗体とも交叉反応した。よって、擬充尾虫によって産生される成長ホルモン様因子は、宿主-奇生体関係における重要な役割を果たす多機能蛋白であることが明らかとなった。 2. マンソン裂頭条虫擬充尾虫が産生するPGFのcDNAのクローニングとその融合蛋白の発現 マンソン裂頭条虫擬充尾虫のcDNA libraryから開始コードを持つcDNAをcloningできた。PGFmRNAをPCRにて増幅し、T-vectorにligationし、大腸菌プラスミドに挿入し、精製されたプラスミドをEcoR1とNot1 1で切り出して、GST蛋白を発現するpGEX-5X-1 Vectorに組込み、大腸菌XL-1 blueに入れた。PGFが組み込まれたGST蛋白が発現していることを抗-27kDa抗体を用いてWestern blotting法にて確認した。しかし、GST融合蛋白は、1%triton X-100を含む緩衝液、Guanidine塩酸に溶解しなかった。よって、大腸菌での発現は不可能と考え、PGFを組み込んだplasmidを用いて3T3 fibroblastに発現させる実験を行っている。一方、PGFmRNAの発現が成虫にも存在するか否かをNorthern blotting法にて観察したところ、成虫には発現していなかった。そして、中性pHで最高の発現が観察され、Dexamethasoneで抑制された.
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[Publications] K.Hirai: "Purification and characterization of trypsin inhibitor produced by plerocercoids of Spirometra eriraceleuropaei." 9^<th> Interrational Congress of Parasitology. 1153-1158 (1998)
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[Publications] H.Wang: "Molecular cloring and expression of the gene encording a growth factor of Spirometra erinaceieuropaei." 9^<th> International Congress of Parasitology. 831-834 (1998)
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[Publications] S.Fukumoto: "Excretory/secretory products from Plerocercoids of Spirometra erinaceieuropaei reduce iNOS and chemokine mRNA levels in murine macroprages" 9^<th> Internatinal Congress of Parasitoogy. 545-550 (1998)
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[Publications] K.Miura: "Plerocercoids of Spirometra erinaceieuropaei reduce gene expression of tumor necrosis factor-α in mice." 9^<th> International Congress of Parasitology. 1241-1245 (1998)