1997 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内寄生原虫由来hsp70による特異的防御免疫誘導機構の分子生物学的解析
Project/Area Number |
09670265
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
由井 克之 長崎大学, 医学部, 教授 (90274638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 明彦 千葉大学, 医学部, 教授 (20135122)
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Keywords | トキソプラズマ / 原虫 / 寄生 / hsp70 / 防御免疫 / 分子生物学 / 抗体 |
Research Abstract |
トキソプラズマ原虫のcDNA libraryを作成し、ヒトhsp70の遺伝子でスクリーニングすることによりトキソプラズマ原虫hsp70のcDNAをクローニングし、その塩基配列を決定した。これを用いてリコンビナント蛋白を作成してマウスに免疫することによりモノクローナル抗体を作成し、トキソプラズマ原虫に発現されるhsp70を同定した。一方、ヒトhsp70のリコンビナント蛋白も作成して、それに対するモノクローナル抗体を作成した。この抗ヒトhsp70モノクローナル抗体は、トキソプラズマ由来の77kDaの蛋白に交叉反応を示した。しかしながら、この2種類の抗hsp70抗体を用いて免疫沈降法を行った実験結果から、それぞれの抗体に結合するhsp70様蛋白は異なることが判明した。即ち、トキソプラズマ原虫に発現される2種類のhsp70様蛋白が同定された。 次にp、トキソプラズマ感染動物において原虫hsp70に対する免疫応答について解析した。弱毒の深谷株トキソプラズマ原虫をBALB/c及びC57BL/6マウスに経口感染させ、1、2、3及び6週間後血清中の抗hsp70抗体と抗トキソプラズマ可溶抗原抗体価測定した。抗hsp70抗体は、両系とも感染マウスの3/11に検出され、感染後1、2週にピークを示し3週以降低下、6週では殆ど検出できなくなった。一方、抗可溶抗原抗体はすべての感染マウスに検出され、感染後1〜6週間持続的な上昇を示した。感染マウスの血清抗hsp70抗体は殆どC末側特異的であった。また、急性感染期に5/11のC57BL/6マウスが死亡したが、これらはいずれも抗hsp70抗体を作らないマウスであった。以上hsp70の抗原性が他の抗原とは質的に異なる可能性が示唆された。
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