1998 Fiscal Year Annual Research Report
ウエルシュ菌α毒素の生体膜破壊機構の分子生物学的解析
Project/Area Number |
09670305
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
櫻井 純 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80029800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敬子 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (90170315)
越智 定幸 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (80268705)
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Keywords | ウエルシュ菌 / α毒素 / 細胞内情報伝達系 / ホスフォリパーゼD / 低分子量Gタンパク質 / Rho / ガス破疽 / ミオグロビン |
Research Abstract |
本年度の第一のプロジェクトであるウェルシュ菌α毒素によるウサギ赤血球の溶血に関与する内因性ホスフォリパーゼDとRhoタンパク質との関係をウサギのRho-GDI遺伝子を用い証明したが、Rhoと内因性ホスフォリパーゼD遺伝子はいずれの場合も単離できたが、これらタンパク質の発現と単離が困難なため、初期に計画したように、この酵素と制御タンパク質をリポソームに組み込む人工膜モデル系の確立は出来なかった。従って、α毒素作用発現における情報伝達系でのRhoの役割を解析することは次年度に持ち越した。一方、本年度の第二のプロジェクトである、マウスにおいて病理学的、生化学的、薬理学的立脚点からヒトと同様の本菌ガス壊痕モデルを確立することには成功した。これまで、本菌にまるガス壊痘は、多くの場合、本菌をマウスなど動物の腹腔や大腿部に注入して、16から24時間内に死に至った場合、本症として扱ってきた。しかしながら、このような実験条件での各組織の変化を病理学的に検討すると、ウェルシュ菌の産生する毒素が血流にて全身に広がり、激しい溶血現象が観察され、さらに、注射部位の筋肉層の融解に伴うミオグロビン遊離により、腎臓の血管細胞表面への蓄積により、腎血管の損傷がみられ、さらに、肝臓、肺臓、脾臓にも同様の結果が観察された。従って、この条件での動物の死は、本菌が産生する毒素による中毒症である事が判明した。そこで、ガス壊痕成立には、感染部位の血流障害が必要であることから、局所の血流低下を引き起こすCa^<2+>を本菌と共にマウスの大腿部に投与して観察すると、マウスは死亡することなく、ガスの貯留と筋肉の融解が病理学的に観察され、全身的にはミオグロビン、α毒素も分布せず、局所の感染症実験系が確立された。さらに、この系を用いて、α毒素遺伝子をトランスフォームした枯草菌でのガス壊痕の成立を証明した。従って、ガス壊痕は、本菌の産生するα毒素が主たる因子であることが証明されたと考える。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Jun Sakurai et al.: "Mechanism of membrane damage by ClosTridium perfringens alpha-toxin" Microbiology and Immunology. 42(8). 533-538 (1998)
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[Publications] Jun Sakurai et al.: "Assembly of Clostridium Perfringens opsihon-toxin on MDCK cell membrarne" Journal of Natural Toxins. 7(3). 291-302 (1998)
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[Publications] Jun Sakurai et al.: "Clostridium perfringens beta-Toxin is sensilive to thial group modification but does not require a thiol group for lethal activity" Biochimica et Biophigsica Acta. (in press). (1999)