1997 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスNS3蛋白によるアポトーシスの抑制及びp53との相互作用の解析
Project/Area Number |
09670317
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
堀田 博 神戸大学, 医学部, 教授 (40116249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 友子 神戸大学, 医学部, 助手 (10224461)
石戸 聡 神戸大学, 医学部, 助手 (10273781)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / NS3蛋白 / p53 / 癌抑制蛋白 / アポトーシス抑制 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)のNS3蛋白の細胞内局在およびp53癌抑制蛋白との相互作用について検討し、以下の成績を得た。ワクシニアウイルス・T7ハイブリッド発現系において、NS3のN末端2/3領域(NS3ΔC)およびNS3全領域(NS3F)は、いずれも細胞質より核に多く分布し、閣内に斑点状に集積する傾向が見られた。一方、NS3ΔCのN末端174塩基を欠損するもの(NS3ΔNΔC)では、前二者に比べて核内移行量は明らかに少なく、細胞質に多く分布した。NS4AはNS3のN末端部と結合し複合体を形成すること、およびその複合体は細胞質内膜画分に存在することが報告されている。そこでNS4Aを共発現させたところ、NS3ΔCの核内移行は強く抑制された。一方、NS3Fの場合、NS4Aによる核内移行の抑制は弱く、ある程度のNS3Fはまだ核内に残っていた。NS3ΔNΔCの細胞内局在は、NS4Aによる影響を全く受けなかった。つぎに、NS3およびその変異体の核移行に及ぼすp53癌抑制蛋白の影響について調べた。野生型p53との共存下では、NS3ΔCおよびNS3Fは、いずれもほとんどすべてが核内に集積した。ここにさらにNS4Aを共発現させると、大部分のNS3ΔCおよびNS3FはNS4Aと共に細胞質に集積したが、一部のNS3ΔCおよびNS3Fは野生型p53と共に核内に移行した。細胞質に局在するタイプの変異型p53と共発現させた場合には、NS3ΔCの核内移行は抑制され、すべて細胞質内に局在した。一方、NS3ΔNΔCの細胞内局在は、野生型p53あるいは変異型p53いずれによっても全く影響を受けなかった。これらの成績より、NS3は、そのN末端配列を介して野生型p53癌抑制蛋白と相互作用し、宿主細胞の癌化に関与していいる可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Muramatu,Sanshiro: "Nuclear localization of the NS3 protein of hepatitis C virus and factors affecting the localization." J.Virol.71(7). 4954-4961 (1997)
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[Publications] Isido,Satoshi: "Wild-type,but not mutant-type,p53 enhances nuclear accumulation of the NS3 protein of hepatitis C virus." Biochem.Biophys.Res.Commun.230. 431-436 (1997)
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[Publications] Isido,Satoshi: "Complex formation of NS3B with NS3 and NS4A proteins of hepatitis C virus." Biochem.Biophys.Res.Commun.in press (1998)
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[Publications] Katayama,Yuko: "Follow-up study of hypervariable region sequences of the hepatitis C virus (HCV) genome in an infant with delayed anti-HCV antibody responses." Microbiol.Immunol.42(1). 75-79 (1998)
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[Publications] Itoh,Masae: "Increased induction of apoptosis by a Sendai virus mutant is associated with attenuation of mouse pathogenicity." J.Virol.in press (1998)
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[Publications] 堀田,博: "発癌ウイルスとしてのC型肝炎ウイルスの意義" 臨床科学. 33(8). 980-986 (1997)