1998 Fiscal Year Annual Research Report
パラミクソウイルスの病原性遺伝子の探索と遺伝子複製の制御因子に関する研究
Project/Area Number |
09670322
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
山田 章雄 国立感染症研究所, 筑波医学実験用霊長類センター, センター長 (50150876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棚林 清 国立感染症研究所, 村山分室・ウイルス製剤部, 主任研究官 (50197505)
竹内 薫 国立感染症研究所, 村山分室・ウイルス製剤部, 主任研究官 (00192162)
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Keywords | パラミクソウイルス / 細胞融合 |
Research Abstract |
パラミクソウイルス科に属するムンプスウイルスは培養細胞に感染し細胞融合を起こして多核巨細胞を形成するが、これにはFのみならずHNの共発現が必要である。また、他のパラミクソウイルスのHNとの組み合わせでは細胞融合活性を誘導することはできないし、FやHNの特定のアミノ酸変異により細胞融合活性が著しく変化する。以上のことは、ムンプスウイルスにおいても両タンパクの間には特異的な相互作用があるものと考えられる。そこで、抗Fまたは抗HNモノクローナル抗体を用いた放射免疫沈降法による解析を試みた。両タンパクを共発現させた細胞をマイルドな界面活性剤であるジギトニンを用いて可溶化した細胞抽出液について、抗Fまたは抗HNモノクローナル抗体を反応させ免疫沈降し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により沈降したタンパクの解析を行った。しかし、これまでに抗F抗体による免疫沈降でHNの、逆に抗HN抗体でFの特異的なバンドは検出されず、さらに可溶化の条件などを検討する必要がある。近年、組換えプラスミドDNAを直接実験動物に投与することにより、目的のタンパクに対する免疫を誘導できることが報告され各種タンパクで試みられている。そこで、ムンプスウイルスのF及びHNを発現できる組換えプラスミドDNAをマウスに投与して抗体の誘導を試みた。マウス血清中には、F及びHNいずれのタンパクに対する抗体が誘導されていることがELISA法により確認できた。さらに、これらの抗体はウイルス中和活性を有しており、F及びHNのいずれもがウイルス中和抗原として重要であることを示している。これらのマウス血清中に誘導されたポリクローナル抗体は、各タンパクに特異的に反応することが間接蛍光抗体法及び放射免疫沈降法により確認され、今後のFとHNの相互作用の解析にも利用できる可能性がある。
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