1997 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ系細胞の分化及び活性化におけるp38Lnkの役割
Project/Area Number |
09670331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 智 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10242116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高津 聖志 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10107055)
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Keywords | リンパ球 / B細胞 / 細胞内蛋白質 / シグナル伝達 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
本年度は、p36Lnkのリンパ細胞の分化および活性化機構に果たす役割を検討するため、p38Lnkを発現しないp38Lnk遺伝子欠損マウスを作製した。まずp38LnkのゲノムDNA断片を用いてターゲッティングベクターを作成し、これをES細胞ヘトランスフェクションして相同組み換えによりp38Lnk遺伝子の一方を欠損したES細胞を得た。これらのES細胞よりキメラマウスを作成し、得られたキメラマウスを交配することによりp38Lnk遺伝子の一方を欠如するヘテロ接合体マウスを得て、さらにヘテロ接合体マウス同士の交配によりp38Lnk遺伝子を欠損するマウスを作製した。ES細胞およびマウスの遺伝子型はサザンブロット法およびPCR法により確認した。 Lnk欠損マウスは正常に生まれ成熟し生殖も可能であった。T細胞受容体を介するシグナル伝達への関与が示唆されていたLnkであるが、胸腺細胞の分化、抗CD3抗体刺激による増殖反応ともに異常はみられなかった。脾臓では、比較的未熟なB細胞が増加し、骨髄ではpro-B細胞の段階からB前駆細胞の増加が顕著に認められた。Lnk欠損マウスでみられたB細胞過剰産生は、T細胞の増加が見られない点を除いて、pro-B細胞の増殖因子であるIL-7を投与したマウスに類似していたが、Lnk欠損マウスと正常マウス間で骨髄細胞のIL-7反応性に差はみられなかった。これらの結果よりLnkは、pro-B細胞の段階でB細胞の産生量を抑制するシグナル伝達に関与していることが固体レベルで明らかになった。
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[Publications] Takaki-S.: "Characterization of Lnk:an adaptor protein expressed in lymphocytes." J-Biol-Chem.272. 14562-14570 (1997)
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[Publications] Alberola-Ila-J.: "Differential signaling by lymphocyte antigen receptors." Annu-Rev-Immunol.15. 125-154 (1997)