1999 Fiscal Year Annual Research Report
家庭内の生物的空気汚染による健康影響に関する疫学的研究
Project/Area Number |
09670352
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中井 里史 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 助教授 (70217644)
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Keywords | 室内空気汚染 / 曝露評価 / アレルギー / 疫学 |
Research Abstract |
本研究は,種々の化学物質や生物学的汚染物質による室内空気汚染と小児のアレルギーとの関連性を探るために実施しているものである。平成11年度は,横浜市磯子区を中心に,アレルギー素因(主にぜん息)を持つ小児の住む家庭20軒とアレルギー素因を持たない子供の住む10世帯,計30世帯を対象として,室内空気中のホルムアルデヒド,二酸化窒素といった化学的汚染物質に加えて,ダニアレルゲン,落下菌等の生物的汚染物質の室内環境測定を行った。 測定結果(平成11年7月実施)であるが,布団の上のダニアレルゲン濃度はアレルギー素因を持たない小児の家の濃度の方がアレルギー素因の小児の家より高い傾向が認められていた。ダニアレルゲンはぜん息発症と無関係,あるいは負の関係があることを示しているのではなく,ぜん息にかかった子供のいる家では,ダニアレルゲンを除去する努力があったことを示唆する結果であると考えられる。このことは,アレルギー素因を持つ子供の家でホルムアルデヒド濃度がやや高くなっている,すなわち床を畳や絨毯からフローリングに替えたことがうかがわれることからも支持されるものと考える。その他の汚染物質に関しては,化学的汚染物質,生物的汚染物質いずれについても,差はほとんど認められなかった。室内環境とアレルギー発症との因果関係を考えるためには,できるだけ発症初期に環境測定を実施すること,さらには発症前から測定を行えるような種々の条件・環境を整えておくことが必要である。本研究により,今後アレルギー発症と室内環境を考えていく上でのベースラインデータを得ることができ,かつ研究遂行上の留意点を示すことができたと考える。 これまでの研究の成果は,平成11年8月にスコットランドで開催された第8回室内空気質に関する国際学会,及び平成11年12月に東京で開催された平成11年度室内環境学会総会で発表した。
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