1997 Fiscal Year Annual Research Report
アスベスト及びその代替繊維による肺胞マクロファージの一酸化窒素産生と肺毒性の関係
Project/Area Number |
09670357
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井口 弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (90025643)
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Keywords | アスベスト / アスベスト代替繊維 / 肺胞マクロファージ / 一酸化窒素産生酵素 / 一酸化窒素 / スーパーオキサイド / パーオキシナイトライト / ハイドロキシルラジカル |
Research Abstract |
アスベストは塵肺及び呼吸器悪性腫瘍を起こすため、その代替として種々の人造鉱物繊維(MMMF)が広く大量に多くの産業およびその生産物に用いられている。しかし、呼吸器に吸入されたMMMFも呼吸器に有害であるとする報告があり、その毒性に関して多くの疑問が残されたままである。肺は吸入された有害外来物質の直接曝露をうける第一防御線として多数の肺胞マクロファージ(AM)を備えている。アスベストは試験管内および肺においてAMと反応して一酸化窒素産生酵素(NOS)を誘導して、有害な遊離基である一酸化窒素(NO)を大量に産生することをすでに明らかにし、学術誌に発表してきた。 今回は日本繊維物質研究協議会が国際的に標準MMMFとして調製したアスベスト代替繊維を用いて実験・研究を行った。これら標準MMMFのうち、セラミック繊維はAMと反応してNO産生を有意に増加させることを明らかにした。さらに一般的に多く用いられているガラス繊維、ロックウ-ル、セラミック繊維は現在も使用を認められているクリソタイルアスベストと同様に、AMと反応して活性酸素であるスーパーオキサイド(O_<2->)の産生を有意に増加されることを明らかにした。このように、アスベストと同様にMMMFはNOとO_<2->を同時に産生すること、これらの産生は生体にとって更に有害と考えられるパーオキシナイトライト(ONOO-)を形成し、分解して細胞・組織傷害を起こすことが明らかな遊離基、OHが生じる可能性があることを明らかにした。以上からアスベスト代替品のMMMFも呼吸器に有害である可能性を示した。
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[Publications] Hiroshi Iguchi and Shosuke Kojo: "RatAlveolar Macrophages Produce O_<2->and NO in the Cultcure with JFM Standard Fibers." Excerpta Medica International Congress Series.1153(in press). (1998)
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[Publications] 井口 弘: "肺胞マクロファージとJFM標準繊維の培養におけるスーパーオキシドアニオンと一酸化窒素の産生" 日本衛生学雑誌. 53・1. 347 (1998)