1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09670361
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清原 千香子 九州大学, 医学部, 講師 (00169963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 洋一 九州大学, 医学部, 講師 (20172356)
田中 恵太郎 九州大学, 医学部, 助手 (50217022)
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Keywords | 肺癌 / 芳香族炭化水素水酸化酵素 / CYPIAI遺伝子多型 / GSTMI遺伝子多型 |
Research Abstract |
現在までに、九州大学医学部付属病院呼吸器内科の新規受診肺癌患者108名についてインフォームド・コンセントを得て採血(14ml)を行った。Buffy coatよりリンパ球を分離培養し、芳香族炭化水素水酸化酵素(aryl hydrocarbon hydroxylase:AHH)を測定した。この場合、3-methylcholanthrene(MC)で処理した誘導AHH活性をMCの溶媒であるアセトンで処理した非誘導AHH活性で徐して、AHH誘導性を算出した。また、buffy coatよりDNAを抽出して、AHH活性を支配すると考えられているcytochrome P4501Al(CYPlAl)遺伝子の3'側の非翻訳領域でのMspI多型(A、B、C型)と第7エクソンでのコドン462における塩基の置換(adenineからguanine)によるアミノ酸置換(isoleucincからvaline)によるIle-Val多型(Ile/Ile、Ile/Val、Val/Val型)のも測定した。 肺癌患者の平均年齢は68.3(35-86)歳、喫煙率71.3%、ブリンクマン指数の中央値575であった。非誘導AHH活性は0.046 pmol/min/10^6細胞〔95%信頼区間(95%CI)、0.038-0.056〕、誘導AHH活性は0.281pmol/min/10^6細胞(0.236-0.333)、AHH誘導性は6.1(5.1-7.2)であった。これらの数値は以前我々が報告した、健常者の数値に較べて高値であった。組織型別にAHH活性を比較したが、組織型間の活性に差はなかった。また、肺癌患者ではC型は22.2%、Val/Val型は16.7%と健常者でのC型(8.5%)やVal/Val型(5.9%)に較べ高頻度であった。肺癌患者ではC型(15.6;95%CI,11.69-20.71)はA型(4.76;95%CI,3.82-5.93)やB型(5.60:95%CI,4.57-6.86)に較べて非常に高いAHH誘導性を示し、Val/Val型(0.121:95%CI,0.082-0.178)はIle/Ile型(0.042;95%CI,0.034-0.052)やIle/Val型(0.040,95%CI,0.030-0.053)に較べて非常に高い構成的(非誘導)AHH活性を示した。 今後症例数を増やすとともにグルタチオンs-転移酵素(glutathione S-transferases,GSTs)の遺伝子多型(GSTMl,GSTTl,GSTPl等)についても測定する予定である。
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