1997 Fiscal Year Annual Research Report
我が国における職業性膀胱がん発生の疫学的研究-染料工場労働者3000名における長期観察とがん発症者の分析-
Project/Area Number |
09670364
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
近藤 健文 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20234940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 政昭 慶應義塾大学, 医学部・泌尿器科学教室, 専任講師 (70129526)
宮川 路子 慶應義塾大学, 医学部・衛生学公衆衛生学教室, 専任講師 (30276216)
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Keywords | 職業性膀胱がん / 疫学研究 / ベンチジン / β-ナフテルアミン / 曝露評価 / 潜伏期間 / 発がん性物質 / 量反応関係 |
Research Abstract |
本年度の研究では、Benzidine(BZ)およびbeta-naphthlamine(BNA)への曝露者約3000名の基礎的データの収集を行い、データの整理、およびデータベースの構築を行った。追跡状態の不備やの情報提供に対する会社の協力体制等の問題により、1987以降のデータについては、かなりの欠損が生じている。 本年度は、1962年から1996年までの期間、追跡が可能であり、正確なデータの得られた都内の某染料工場における曝露者236名について、発症者と非発症者の比較を行うことによって発がんのプロモーターとなりうる因子について検討を行った。さらに、発症者については曝露期間と発症した膀胱がんの臨床的データの関係を解析し、量反応関係について考察した。また、アンケート調査を加えて行い、特に喫煙の影響について検討を加えた。 追跡期間中に、236名中19名(8.1%)が膀胱がんを発症した。発症者と非発症者では、曝露状態、喫煙歴には有意差は認められなかった。曝露開始年齢は、発症者の方が、有意に高かった(30.1VS25.4歳)。 発症者19名についての解析では、曝露期間と、曝露終了時から発症までの潜伏期間との間に有意な負の相関が認められたが、プロモーターとして明らかな因子については特定することはできなかった。発生したがんのGrade間の比較では、Gradeが高い群ほど、発症時年齢が高く、曝露期間の平均値が長い傾向が認められたが、有意ではなかった。職業性膀胱がんの潜伏期間は、20年から30年といわれてきたが、曝露終了後40年以上経った者の発症がいまだ観測されており、曝露集団の高齢化に伴って今後さらに発症者が増加する可能性が考えられ、細かなフォローアップの必要性が示唆された。 来年度の研究予定:曝露集団における発症の収束の予測 すでに発症している曝露者の年齢、潜伏期間を考慮し、曝露集団の年齢構成、曝露データ、各種関連因子データをもとに、曝露集団における今後の膀胱がん発症の予測を行う予定である。
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