1998 Fiscal Year Annual Research Report
我が国における職業性膀胱がん発生の疫学的研究-染料工場労働者3000名における長期観察とがん発症者の分析-
Project/Area Number |
09670364
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
近藤 健文 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20234940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 政昭 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (70129526)
島田 直樹 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (90255430)
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Keywords | 職業性膀胱がん / 疫学研究 / ベンチジン / β-ナフチルアミン / 曝露評価 / 潜伏期間 / カプランマイヤー法 / 比例ハザードモデル |
Research Abstract |
本年度の研究では、全国16の染料工場に勤務していた曝露者3109名を追跡調査し、膀胱癌の平均潜伏期間および最長潜伏期間の推計を行った。 カプランマイアー法を用いて、膀胱癌の発症を終結事象として、膀胱癌累積無発症率を算出し、膀胱癌累積発症率と潜伏期間との散布図を描いた。最終的に、膀胱癌累積発症率に対して、様々な膀胱癌潜伏期間の極限値(飽和水準)を設定し、この散布図にロジスティック曲線を繰り返し当てはめることにより、最も高い相関係数を示した飽和水準を最長潜伏期間とした。最長潜伏期間の推計値は51.3年であった。 次に、曝露開始年齢および曝露期間と膀胱癌の発生リスクとの関係についても検討を行った。膀胱癌の発症を終結事象としたコックスの比例ハザードモデルを用いて、ベンチジン、β-ナフチルアミン、α-ナフチルアミンへの初曝露年齢と膀胱癌発症の関係、および曝露期間と膀胱癌発症の関係を明らかにした。初曝露年齢(歳)および曝露期間(年)を説明変数とした場合の、それぞれの変数の膀胱癌発症に対するハザード比は、初曝露年齢が1.03(95%信頼区間:1.01-1.04)、曝露期間が1.06(95%信頼区間:1.04-1.07)であり、ともに統計学的に有意であった。初曝露年齢が高いほど、および曝露期間が長いほど膀胱癌の発症リスクが高いことがわかった。
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