1997 Fiscal Year Annual Research Report
先端技術産業で用いられる希土類元素のヒトへの生体影響評価
Project/Area Number |
09670365
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
篠原 厚子 順天堂大学, 医学部, 講師 (90157850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 百子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80095819)
渡辺 弘美 順天堂大学, 医学部, 助手 (20255657)
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Keywords | 希土類元素 / 生体影響評価 / MIP-MS / 産業衛生 |
Research Abstract |
希土類元素のヒトへの生体影響評価を行うために、血液、尿などの生体試料中の希土類元素測定法を検討した。高周波プラズマ-質量分析法(MIP-MS)は、sub-ppbオーダーという高感度でで希土類元素を測定できるが、試料中に共存する高濃度の塩の影響による妨害を受ける。そこで、キレート樹脂を用いた濃縮と共存元素の除去を試み、一連の希土類元素および数種類の重金属類を効率よく抽出することができた。市販の樹脂は希土類元素のコンタミナーションがありこれを取り除く必要があること、塩酸による洗浄だけでは不完全でさらに硝酸による洗浄も必要なことが分かり、樹脂の前処理が重要であることがわかった。希土類元素に特に暴露していないヒトの血液や尿をこの方法で測定したところ、希土類元素濃度は非常に低い(1ppb以下)ことが分かった。希土類元素を取り扱うフィールドで働いているヒトの暴露状況を知るために最もよい測定対象試料を決めるために、実験動物(マウス)に2種の希土類元素、テルビウム(Tb)とイッテルビウム(Yb)を単独で投与し、生体内の分布と排泄を調べた。その結果、静脈内に投与した元素は、血中から素早く消失すること、肝臓をはじめとする臓器に分布するが一部は尿および糞中に排泄されること、元素によって程度は異なるが、投与量が少ないほど尿中への排泄割合が高いことがわかった。尿は苦痛を伴うことなく得られる試料であり、必要によっては畜尿も可能である。ヒトにおいては、生体内への希土類元素の吸収は、あったとしても極微量と考えられることから、尿が暴露状況を知る最もよい指標と考え、測定対象を尿に絞ることにした。暴露者の尿中希土類元素の測定し、非暴露者との比較、作業内容や勤務年数との関係を検討するために、これから実試料の測定を始めるところである。
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