1998 Fiscal Year Annual Research Report
農業トラクター作業者における低周波騒音暴露の15年後の追跡調査
Project/Area Number |
09670368
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine, |
Principal Investigator |
金森 雅夫 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (90127019)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 みずえ 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (40283361)
|
Keywords | 農作業トラクター / 聴力 / 産業衛生 / 老化 |
Research Abstract |
【研究目的】農業トラクター作業者における低周波音暴露の15年後の追跡を行うのを目的とした。大規模農業地帯の専業農民トラクター運転手(男女)の農作業中の騒音暴露の実態と、聴力検査(オージオメトリー1000Hz-8000Hz)を実施し、過去の測定結果と比較することにより、低周波音を主とするトタラクター騒音の長期的評価影響を評価する。 【研究対象】北海道十勝地方N村の住民。農業トラクター作業者とは畑作、酪農の専業農民トラクター運転者(20ha以上)をいい、農作業以外に主たる音源を除いて他にほとんどない。また、229人については、1978-79年当時のオージオグラムの個票が存在し、さらに年間を通しての詳細な生活時間、疲労自覚症状(産衛版)の個票があり、一部被検者の追跡も可能である。 【結果・考察】職種について、農業・トラクター作業者、農業・非トラクター作業者、非農業・騒音作業者、非農業で騒音職場でない者に分類した結果、会話域では、男女とも職種間で差がなかったが、4000Hzでは、どの年齢階級でも男の農業・トラクター作業者で聴力損失の程度が大きかった。男性農業従事者についてトラクター運転経験年数別聴力結果では、どの年齢階級でもトラクター運転経験年数20年以上の群で4000Hzを中心に聴力損失の程度が大きかった。聴力損失の交絡因子のうち、アルコールについて検討したが4000Hz以上の高周波でアルコールへのの影響が認められた。男性でトラクター運転経験年数20年以上で1)どの年齢階級でも4000Hzにおいて聴力損失が大きかったこと、2)アルコールや高血圧などの聴力損失への加速要因が他の非トラクター運転者群と比較しても差がないこと、3)年間のトラクター運転時間の少ない女性では上記結果は得られなかったこと、4)耳栓着用者にはC5dipの現象を認めなかったことから、トラクター運転に伴う騒音被爆の聴力への影響が考えられた。1979年の我々の結果と同様であった。また、等価騒音レベルでは85dB以上であり、特に収穫作業では高値で作業時間が12時間に及ぶ。
|
-
[Publications] 金森雅夫,他: "痴呆性老人のADL介護度と痴呆の関連性" 老年期痴呆. 12・4. 447-456 (1998)
-
[Publications] 鈴木みずえ.金森雅夫,他: "在宅高齢者の転倒・骨折予防のための健康づくり活動に関する研究" 明治生命厚生事業団第4回健康文化研究助成. 4. 52-61 (1998)
-
[Publications] 鈴木みずえ,金森雅夫,他: "在宅高齢者の転倒予防に関する保健活動" 保健の科学. 40・8. 671-678 (1998)
-
[Publications] 金森雅夫.鈴木みずえ,他: "農業トラクター作業者の聴力の追跡調査" 第72回日本産業衛生学会(1999.5.8).
-
[Publications] (発表予定). (1999)