1999 Fiscal Year Annual Research Report
病原性大腸菌O-157感染症の中長期の健康障害に関する研究
Project/Area Number |
09670386
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高鳥毛 敏雄 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20206775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 範幸 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90207829)
多田羅 浩三 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20107022)
村上 茂樹 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00273673)
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Keywords | 腎障害 / 蛋白尿 / 追跡調査 / 大腸菌O157 |
Research Abstract |
平成8年7月に発生した堺市の腸管出血性大腸菌O157に関連する学童26,918人について、喫食調査、医療機関調査、保健所調査などの調査結果をデータベース化した。これらの者を患者、有症状者、検便菌陽性者、HUS発症者に分類した。このデータベースをもちいて、平成8年9月に堺市内小学校(92校)を対象とした腎臓検診の実施した結果と、平成9年2月に大腸菌O157患者の暴露(47校)のみを対象とした腎臓検診を行った結果を分析した。その結果、平成8年9月全学童の尿検査成績について、ペーパー法による尿蛋白(±)以上の児童陽性者数とその割合は、暴露校検査実施者25,656名については588名(2.29%)、非暴露校検査実施者19,495名については510名(2.61%)であった。暴露校(47校)と非暴露校(45校)のペーパー法による蛋白尿の出現率を比較すると、その陽性率には明らかな差はみられなかった。ズルホ法によっても、陽性率に顕著な差は認められなかった。しかし平成8年9月に実施した腎検診の結果は、蛋白、潜血反応、顆粒円柱の出現率のいずれも平成7年度に比べわずかに高値であった。平成9年の腎検診1次スクリーニング検査結果で有所見のために精密検査を実施した者について分析を行った。異常者の割合はそれまでの腎検診にみられる年度間の変動範囲内程度であり、これをもって直ちに後遺症としての腎病変の増加と言うことはできなかった。平成9年度は受診者24,690人にいて分析した。平成9年3月の精検対象者が2,142人(8.2%)に対し、10年度は1,312人(5.3%)であった。平成10年度の精密検査の結果、生活管理の必要な者は97人であり、内訳はB区分3人(前回0人)、C区分3人(同12人)、D区分91人(同92人)であった。今後も管理を必要とする要治療・経過観察中が380人(前回516人)に対し、管理不要は510人(同802人)、記載なし5人であった。ただし要治療7人のうち、3人は集団下痢症発症以前から治療を続けていた者である。現在の障害については、「障害がある」238人(重複障害1人を含む)の内容は、腎機能低下3人(1.3%)、神経障害1人(0.4%)、その他15人(6.3%)であり、検尿の異常だけの者が219人(92.0%)であった。
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