Research Abstract |
わが国における効果的な保健サービスの提供体制のあり方を明らかにする目的で,地域高齢者の保健サービスのニーズ・アセスメントを実施した。本年度は,ニーズの内容と充足状況,およびニーズ充足に要する費用を評価するとともに,これらニーズ評価の信頼性についても検討を行った。その結果,以下の結論が得られた。 1) 対人サービスに関するニーズの必要件数は,訪問指導,医療,介護,家事援助,デイサービスが上位を占めていた。その内で充足率の高かったのは,身辺介護,家事援助であり,その他の項目については充足率は低いことが認められた。また,ニーズの必要時間数で見ても,同様な項目が挙げられ充足状況も同様であった。 2) 住居に関するニーズの必要件数を見ると,対応場所ではトイレ,風呂,台所が多く,対応内容では段差改善,手すり,照明,別棟解消が多かった。 3) 未充足のニーズを充足するための費用は,対人サービスでは111万円/月であり,住環境ニーズでは1100万円と推定された。 4) ニーズ評価の信頼性については,2人一組みによる評価の一致率は70-100%と高い値を示していた。ただし,偶然性を除いたカッパーでは,身辺介護,家事援助などは0.6を越えており実質的な一致が認められた。デイサービス,移動などでは0.4-0.59であり軽度の一致であった。一方,医療,環境整備では0.3-0.39と一致は低かった。
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