Research Abstract |
本研究は,加齢に伴う免疫能の低下ー免疫老化ーを抑制するライフスタイル要因を解明することを目的としている.研究の最終年度にあたる本年度の研究実績は以下のとおりである. 1. 末梢血液中の白血球総数および分画の免疫老化所見とその関連要因 昨年に引き続き,平成10年度の愛媛県O市の老人保健法に基づく基本健康診査を受診した20〜90歳代男女3,616名について,インフォームドコンセントを得た上で採血を行い,末梢血液中の白血球と各分画の濃度を測定した.これを性,年齢階級別にまとめるとともに,健診で得られたその他の付随データである,BMI血圧,総コレステロール,中性脂肪,HbA1c,喫煙と飲酒状況との関連分析を現在行っている段階である.予備的ではあるが,昨年度と同様,免疫担当細胞の血中濃度は,それぞれBMI,血圧,総コレステロール,中性脂肪,HbAlc,喫煙と飲酒状況などと密接に関連しており,免疫老化が各種ライフスタイル要因により影響を受けること示されている.さらに,平成9年と平成10年の健診を両方とも受診したものが2,080名おり,現在白血球濃度のtracking減少あるいはその変動要因について解析を進めている. 2. 末梢血液中のリンパ球サブセットの濃度と,頚動脈硬化所見との関連分析 本年度は頚部超音波検査を,107名について施行した.昨年の119名を合わせた合計226名のデータについて,頚動脈硬化所見と免疫能との関連を分析した.その結果,頚動脈硬化所見を認めるものはそうでないものに比べ,CD8陽性細胞障害性T細胞濃度が高く,さらにCD3-CD56+NK細胞濃度が低いことを認めた.すなわち,老化と関連の深い動脈硬化の進展に,何らかの免疫学的機序が関与する可能性が示された.
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