1999 Fiscal Year Annual Research Report
摂食障害患者の難治化要因、治療、予後に関する疫学的研究
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09670401
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Research Institution | Kagoshima University Hospital, Faculty of Medicine |
Principal Investigator |
野添 新一 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 教授 (10117533)
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Keywords | 神経性食欲不振症 / 社会適応性 / 無断離院 / 治療脱落 / 家庭背景 / 入院前因子 / 発症前因子 / 入院後因子 |
Research Abstract |
目的:神経性食欲不振症(AN)の制限型(AN-R)と無茶食い/排出型(AN-BP)の病態から観た難治化要因を明らかにすること。 方法:当科に入院したAN患者232例(AN-R:136例、AN-BP:96例)について、(1)発症前因子として家庭背景(不和、両親の離婚、Broken family)社会適応、(2)入院前因子としては<年令、罹病期間、精神科受診歴、過去の受診医療機関数、(3)入院後因子としてBMI、退院後BMI、無断離院、治療中断、入院期間を調べ、2群についてX^2検定及びMann-whitnyのp検定を行った。 結果:発症前因子では、AN- BPがAN- Rより社会適応が不良(p=0.0187)、家庭不和(p=0.0343)の割合が多かった。入院前因子ではAN- BPがAN- Rより罹病期間が長く(p<0.0001)、精神科受診歴が多く(p=0.0002)、過去の治療中の無断離院(p=0.009)、治療の脱落(p=0.0349)が多かった。 結論:AN-BPとAN-Rでは病態に明らかな相違があった。AN-BPはAN-Rに比べて、家庭背景に問題があり、社会不適応を起こしている割合が高く、経過が長くなり、病態の複雑化が推測された。またAN-BPはAN-Rより治療脱落、無断離院が多く、治療の困難さが明らかになった。AN-BP型では早期治療の徹底の必要性が示唆される。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 野添新一: "全国的に増加している摂食障害患者の抱える問題と対策"日本醫事新報. No.3940. 36-40 (1999)
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[Publications] 溝口初枝、野添新一: "摂食障害患者に対するチーム医療と予後の関係"心身医学. 39(5). 343-348 (1999)
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[Publications] 成尾鉄朗、野添新一: "神経性食欲不振症患者における前頭葉の局所脳血流低下と臨床病態"治療. 81(7). 136-137 (1999)
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[Publications] 胸元孝夫、野添新一: "早期行動介入が奏効した神経食欲不振症の姉妹例"行動療法研究. 25(1). 37-49 (1999)
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[Publications] 松本聰子、野添新一: "摂食障害患者のコミュニケーションスキルに対する入院行動療法の検討"新しい関係性を求めてーコミュニケーションの諸相報告書(鹿児島県). No.1. 231-244 (1999)
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[Publications] 野添新一、中山孝史: "食の精神医学:精神医学レビューNo.32"ライフ・サイエンス. 8 (1999)
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[Publications] 穂満直子、野添新一: "摂食障害"日本評論社. 19 (1998)