1998 Fiscal Year Annual Research Report
思春期集団における抑うつ症状と心理社会的要因の関連
Project/Area Number |
09670403
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
高倉 実 琉球大学, 医学部, 助教授 (70163186)
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Keywords | 思春期 / 抑うつ症状 / CES-D / ADES / ストレッサー / ソーシャルサポート / ソーシャルスキル / 健康習慣 |
Research Abstract |
本研究では沖縄県全域の中学生の抑うつ症状の有症率を明らかにし、抑うつ症状と心理社会的要因との関連性を検討することを目的とした。対象は、沖縄県全6校区から各校区の生徒数に応じて選出された13中学校の1〜2学級に在籍する中学生2,660名であった。調査は抑うつ症状と心理社会的要因に関する項目を含む質問紙により1998年9月から11月にかけてクラス内で実施した。抑うつ症状はCenter for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)から測定し、心理社会的要因として、前年度に開発した思春期用日常生活ストレッサー尺度(Adolescent Daily Events Scale)、ソーシャルサポート、ソーシャルスキル、統制感、自尊心、健康習慣を測定する尺度、および学校嫌い、保健室利用、部活動参加などの学校関連項目を用いた。抑うつ症状平均得点は男子15.8、女子18.5で、成人用cutoff点(16)を基準とした場合の有症率は男子44.2%、女子60.4%で、いずれも有意な性差がみられた。学年では2年生がやや高い得点を示したが、地域差はみられなかった。また、学校嫌い、保健室利用者、部活動不参加者は有意に高い抑うつ症状得点を示した。重回帰分析を用いて、抑うつ症状に対する心理社会的要因の関連を検討したところ、男子では生活ストレッサーが正の関連を、ソーシャルスキル、統制感、自尊心、健康習慣が負の関連を示した。女子では生活ストレッサーが正の関連を、ソーシャルサポート、統制感、自尊心、健康習慣が負の関連を示した。以上のことから、高校生の抑うつ症状にとって生活ストレッサーは危険因子となり、ソーシャルサポート,ソーシャルスキル、統制感、自尊心、健康習慣は防御因子となることか示唆された。
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