1998 Fiscal Year Annual Research Report
職域健康診断の実証的有用性評価と改善策に関する研究
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09670411
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
矢野 英二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 和枝 帝京大学, 法学部, 助教授 (50091038)
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Keywords | 職域定期健康診断 / スクリーニングテスト / 肝機能検査 / 敏感度 / 特異度 / 尿糖検査 / 足腕血圧比(AAI) / 動脈硬化 |
Research Abstract |
職域定期健康診断項目の有用性評価のために次の研究を行った。 1. 尿糖検査:人間ドック受診男性455人のGTTの際の尿検査をGTTの結果と対比すると、空腹時の尿糖検査は特異度は100%であるのに対し、敏感度は10%であった。すなわち空腹時の尿糖検査は、糖尿病の10人の内9人を見逃すことがわかった。しかし、定期健診の際の尿糖検査の条件を産業医にアンケート調査したところ、回答した107名の産業医のうち58%は尿糖検査を空腹時に行っており、食後に検査していたのは3%すぎなかった。 2. AAI:動脈硬化性疾患を早期発見するための検査として、ドップラー血圧計を用い、足と腕の収縮期血圧の比(AAI)を検討した。高血圧の治療中のものを除いた446人の男性労働者についてAAIを測定し、その値がもっとも良く眼底の動脈硬化性変化、心電図でのST、Tの虚血性変化、虚血性心疾患既往を発見するレベルを検討した。その結果、AAIが1.0未満を陽性とすると、眼底の動脈硬化性変化を敏感度、特異度共に約80%であった。AAIは侵襲が少なく簡便で、動脈硬化のスクリーニングテストとして、妥当性が高く有用と考えられた。 3. 職域健康診断の改善策の提案:以上の結果を踏まえ、今日の定期健康診断の改善方策を次の3領域から検討した。(1)検査項目の選択:毎年一律、全員に同じ項目の検査を行うことが必ずしも合理的とはいえず、検査の目的を明確にすると共に、対象の性、年齢、様々なリスク、以前の検査結果や既往等に即した、健診項目の弾力的な選択が必要である。(2)検査結果の処理:継続して経過を観察できる産業保健の特長を生かし、例えば個人正常範囲の考え方に基づく結果判定、新規の異常を重点的に把握し対処するシステム、5年毎の節目健診等が提案される。(3)健診の予防活動全体の中での位置付け:健康教育や禁煙活動等の一次予防活動と二次予防である健診とのかかわりを整理し、両者の適正な相互関係の中での運用が必要である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T Shinozaki: "Ankle-arm index as an indicator of atherosclerosis:Its application as a screening method" Journal of Clinical Epidemiology. 51(12). 1263-1269 (1998)
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[Publications] 矢野栄二 (編): "Evidence-based Medicine による健康診断 予定" 医学書院, (1999)