1998 Fiscal Year Annual Research Report
暴露量の誤差を考慮しない疫学研究結果より算出された安全基準の使用による問題点
Project/Area Number |
09670415
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
杉田 稔 東邦大学, 医学部, 教授 (80051845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田原 由美 東邦大学, 医学部, 助手 (60287498)
伊津野 孝 東邦大学, 医学部, 講師 (20213019)
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Keywords | epidemiology / dose-response relationship / renal dysfunction / cadmium concentration in rice / error in dose / confounding factor |
Research Abstract |
カドミウム(Cd)摂取総量を米中Cd濃度(Cd-R)などから計算し、それを量として、腎尿細管機能障害を反応とする量・反応関係の既存の疫学研究において、明瞭な量・反応関係が報告されている。しかし、Cd-Rには諸条件で小さくない変動を伴うと報告されているにも拘らず、その量・反応関係が安易に一般環境安全基準作成の基礎資料にされている。なお、この種の疫学研究では、量に誤差がないという前提に立っている。量の変動が大きい場合、量・反応関係の意味を慎重に考慮すべきであると昨年度報告した。 そこで今年度は、量の変動が大きく、かつ独立変数に無視できない交絡因子が存在する場合、検出された量・反応関係の意義を考察することを目的とする。Cd汚染地区と非汚染地区の住民を対象として、Cd-Rから算出されたCd摂取総量と腎尿細管機能障害の量・反応関係の疫学的研究を具体例とする。この場合、量はCd-Rから算出されたCd摂取総量であるが、その交絡因子として地区(Cd汚染地区か非汚染地区か)を無視することは問題である。その差は両地区の飲料水中のCd濃度差などが考えられる。このような場合検出された量・反応関係において、主因子(ここではCd-R)に起因する割合と交絡因子に起因する割合が不明である。また、量の算出の元であるCd-Rに大きな変動があるから、さらにその解明が困難になる。したがって、既存の疫学的研究を使用してCd-Rから算出されたCd摂取総量と腎尿細管機能障害の量・反応関係から、一般環境安全基準を単純に作成することは問題である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Izuno T, Sugita M, Otahara Y,et al.: "Validity of cadmium concentration in rice as the 'dose'of the dose-response relationship between cadmium intake and renal dysfunction" (投稿準備中).