1997 Fiscal Year Annual Research Report
手腕系振動障害における冷水浸漬による皮膚温検査の国際標準化に関する検討
Project/Area Number |
09670425
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
石竹 達也 久留米大学, 医学部, 助教授 (60232295)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鹿野 美穂子 久留米大学, 医学部, 助手 (50279139)
|
Keywords | 産業保健 / 職業病 / 手腕系振動障害 / 末梢循環障害 / 冷水浸漬試験 |
Research Abstract |
・初年度の平成9年度は健常人を対象に、厳密にコントロールされた温熱環境下で、種々の冷水浸漬条件の皮膚温検査法を実施し、皮膚温だけでなくその他の生理機能も測定して、環境条件と冷水浸漬による皮膚温検査法との関連性を明らかにすることを目的に研究を行った。30名の健常男性を対象に、高精度恒温恒湿装置を用いて3種類の温熱環境下(17℃、22℃、27℃)で、3種類の冷水浸漬条件の皮膚温検査法を実施し、末梢循環機能の指標である手指皮膚温変化と末梢神経機能指標である痛覚と振動覚との関連性を観察した。 皮膚温回復過程は同一冷水浸漬試験(10℃の冷水中に10分間、一側手首まで浸漬;以下10℃10分法)では、実験室の室温が低いほど不良であった。皮膚温は浸漬前と負荷終了後3分以降は異なる室温間で有意差を認めた。室温が27℃のときは、被験者の95%が浸漬終了15分以内に前値まで回復したが、室温が22℃と17℃のときは、それぞれ被験者の40%と15%のみが回復した。同一被験者においても、室温条件の違いで皮膚温回復が顕著に異なることがわかった。末梢神経機能検査の振動覚と痛覚も、異なる室温により回復過程に差があった。これは、これらの知覚閾値が皮膚温に大きく影響されるためと考えられた。2つの知覚閾値では、振動覚の回復が痛覚の回復より良好であり、冷水浸漬試験の末梢神経系への影響を評価するときは、振動覚より痛覚閾値の測定が有用と考えられた。また、同一室温において、今回採用した3種類の冷水浸漬試験では、5℃-1分法(5℃の冷水中に1分間浸漬)が、もっとも浸漬後の皮膚温回復が早く、15℃-15分法(15℃の冷水中に15分間浸漬)がもっとも遅いことが確認された。また、室温が17℃のときは、どの冷水浸漬でも皮膚温回復が不良で、逆に27℃の時は皮膚温回復は浸漬法には無関係に良好な皮膚温回復を認めた。 ・98/3に開催された冷水浸漬試験法に関する国際標準化会議(名古屋)で上記結果を発表し、産業保健における振動障害検診の冷水浸漬実施上の有用な情報を提供した。 ・98/6に開催される国際手腕系振動会議(スウェーデン)でも発表予定である。
|