1998 Fiscal Year Annual Research Report
多色蛍光標識プライマーを用いた新しいSTR多座位同時分析法の法医学的応用
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09670436
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 敏充 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50260592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
打樋 利英子 名古屋大学, 医学部, 助手 (20223571)
勝又 義直 名古屋大学, 医学部, 教授 (30109326)
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Keywords | STR / Multiplex PCR / Capillary electrophoresis / 法医学 / 蛍光標識プライマー / 集団遺伝学 |
Research Abstract |
昨年度より継続したパーキンエルマー社との共同研究により、3色の蛍光色素をプライマーで標識して9つのSTRローカス(D3S1358、vWA、FGA、TH01、TPOX、CSFIPO、D5S818、D13S317、D7S820)を一度にタイピングするAmpF1STR Profiler kitを用いて、206名の日本人のデータベースの作成し、各ローカスについてのアリル頻度を算出した成果が本年度J. Forensic Sci.に論文として掲載された。今年度は、同様のキットであるAmpFISTR Profiler plus kitとCofiler kitをを組み合わせて使用することにより、前述の9ローカスの他に4ローカス(D18S51,D21S11,D8S1179,D16S539)、計13STRローカスのアリル頻度を日本人207名から算出した。また、犯罪の国際化に伴い日本の近隣諸国の民族集団におけるアリル頻度も中国人(北京近郊)118名、ビルマ人122名、韓国人110名から算出した。これらの集団においても非常に高い個人識別能力を有していること、及び各集団と日本人との間でアリル頻度分布に有意な差がみられるローカスもいくつか存在することがわかり、遺伝的近縁性について若干の知見を得た。これらの成果は現在論文作成中である。さらに、集団遺伝学上サンプリングの適合性を示すハーディ・ワインベルグ平衡の各種検定法を9つのSTRを使って比較検討した。その成果は、「DNA多型」にまとめられた。この方法を法医学な検査の一つである親子鑑定に応用した。その結果、STRの一つのローカス(D3S1358)で父子関係が否定されるいわゆる孤立否定例に遭遇したが、MVR-PCR法など特殊な検査方法を利用して、この事例がSTRの突然変異例であることを証明し、平成10年度日本法医学会総会において発表された。また、法医学的な物体検査の応用例として在宅の歯ブラシから抽出された微量DNAにこの方法を応用したところ極めて良好な結果が得られた。現在、この成果は投稿中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yamamoto, Toshimichi: "Polymorphisin analysis of nine STR loci in Japanese using multiplex PCR and capillary electrophoresis." Progress in Forensic Genetics. 7. 390-391 (1998)
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[Publications] 勝又,義直: "ハーディ・ワインベルグ平衡の各種検定法の比較" DNA多型. 6. 170-175 (1998)
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[Publications] Yamamoto,Toshimichi: "Allele distribution at nine STR loci-D3S1358, vWA, FGA, TH01, TPOX, CSF1PO, D5S818, D13S317 and D7S820-in the Japanese population by multiplex PCR and capillary electrophoresis" Journal of Forensic Sciences. 44 (1). 167-170 (1999)