1998 Fiscal Year Annual Research Report
フリーラジカルによる老人性痴呆の脳組織障害の分子機構
Project/Area Number |
09670438
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Research Institution | kobe University |
Principal Investigator |
足立 順子 神戸大学, 医学部, 助手 (40030887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 猛章 神戸薬科大学, 教授 (00068339)
浅野 水辺 神戸大学, 医学部, 助手 (90283879)
上野 易弘 神戸大学, 医学部, 助教授 (30184956)
龍野 嘉紹 神戸大学, 医学部, 教授 (80030831)
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Keywords | 老人性痴呆 / 活性酸素 / 過酸化脂質 / 化学発光法 / LC-MS |
Research Abstract |
老年期痴呆のうち、脳血管型では脳微小血管における脳虚血障害はフリーラジカルによる過酸化脂質(ヒドロベルオキシド)により引き起こされる。昨年は過酸化脂質の同定・定量のための基礎的検討を行った。過酸化脂質のうちヒドロペルオキシコレステロールは生体内で生成されるばかりでなく、その抽出過程に形成されるartifact formationが問題となる。抗酸化の種類と添加濃度、粗脂質の精製に用いる固相抽出cartridgeの種類などの検討を行った結果artifact formationを防ぐことに初めて成功した。本年は痴呆者及び健常人脳組織を解剖時に遺族の承諾を得て採取し、前頭葉皮質、同白質、頭頂側頭葉皮質、同白質、後頭葉皮質、同白質の6つの部位に分けた。ホモジナイズ後膜ね脂質を抽出し、Sep-Pakの固相抽出によりコレステロール画分を得た。同じ保持時間に出現する7-ヒドロペルオキシコレステロール(7-00H)と、7-ヒドロキシコレステロール(7-OH)を区別するため移動相に10mM酢酸アンモニウムbufferを添加したメタノールを用いたところ7-00Hではm/z401が出現することを見出した。LC-MS分析すると過酸化物(7-00H)及び酸化代謝物(7-OH、7-ケトコレステロール、コレステロールエポキシド)に対応するピークが出現しマススペクトルにより同定された。さらに、化学発光検出器付液クロ(HPLC-CL)を用いると、過酸化物(7α-および7β-ヒドロペルオキシコレステロール)のピークは分離でき定量可能であった。痴呆脳では健常人脳よりもコレステロール過酸化物の蓄積が見られた。部位別に検討すると、頭頂側頭葉白質が高かった。
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