1998 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素中毒における遅延性大脳基底核神経障害の発生機序
Project/Area Number |
09670439
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
上園 崇 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70294387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 和夫 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20127533)
木村 恒二郎 島根医科大学, 医学部, 教授 (30153191)
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Keywords | 一酸化炭素中毒 / 遅延性神経障害 / 淡蒼球 / 神経細胞死 / ブレインマイクロダイアリシス / グルタミン酸 |
Research Abstract |
一酸化炭素中毒の後遺症として、量篤で様々な精神障害が出現することがある。一酸化炭素中毒の基質的な遅延障害として大脳皮質、基底核および海馬の神経脱落が特徴的に認められる。一方、一過性の窒息などの虚血後の脳障害は、大脳皮質、海馬、小脳神経細胞の壊死が観察される。両者の中枢障害はかなり似通っているが、一酸化炭素中毒の場合、基底核、特に淡蒼球の両側性の神経細胞死が顕著に認められる。この相違が、一酸化炭素中毒特有の機構に基づくものか、あるいは低酸素状態に普遍的に認められる現象かは明らかでない。昨年度に引き続き、ブレインマイクロダイアシス法を用い、淡蒼球における一酸化炭素の神経化学的変化についての研究を行った。本年度はラットに吸入させる一酸化炭素濃度を1%に低減した一酸化炭素中毒モデルを作成した。一酸化炭素吸入1時間前から3時間後まで淡蒼球細胞外液から回収されるグルタミン酸を定量した。一酸化炭素吸入時にはグルタミン酸の変化は観察されなかったが、3時間後には約半数のラットにおいて基礎値の2倍以上となった(平均1.7倍)。低酸素モデルラットにおいてはグルタミン酸の若干の上昇が見られたがその上昇が2倍を超えるものはなかった(平均1.2倍)。一酸化炭素中毒時に観察される淡蒼球における神経細胞死には、グルタミン酸濃度の上昇が関与している可能性が示唆された。病理学的検討では一酸化炭素吸入により、大脳皮質、海馬のsommer扇形部、淡蒼球の神経細胞は中大脳動脈閉塞術による一過性虚血モデルと同様の虚血性変化を示す。すなわち、ヘマトキシリン-エオジン染色では濃く青く染まり、縮小して観察された。しかし、白質の血管周囲の出血巣や脱髄は見られなかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 長谷川 正紀: "セレギリン服用者と覚せい剤濫用者の識別 : Triageによるスクリーニング試験の有用性" 法中毒. 16(3). 200-206 (1999)
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[Publications] Keiko Shimizu: "Reduced dorsal hippocampal glutamate release significantly correlates with the spatial memory deficits produced by benzodiazepines and ethanol." Neuroscience. 83(3). 701-706 (1998)
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[Publications] Kazuo Matsubara: "Structural significance of azaheterocyclic amines related to Parkinson's disease for dopamine transporter." Eur J Pharmacol. 348(1). 77-84 (1998)
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[Publications] Kazuo Matsubara: "Endogenously occurring β-carboline induces parkinsonism in nonprimate animals : a possible causative protoxin in idiopathic Parkinson's disease." J Neurochem. 70(2). 727-735 (1998)