1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09670445
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
津金澤 督雄 鹿児島大学, 医学部, 教授 (80064517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吾郷 美保子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (70041340)
吾郷 一利 鹿児島大学, 医学部, 講師 (20102056)
小片 守 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (10152373)
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Keywords | 法医解剖 / 頚部圧迫 / 機械的窒息 / 皮膚圧迫痕 / 組織染色 / 膠原線維 / 弾性線維 |
Research Abstract |
伸展してホルマリン固定した頚部皮膚から採った圧迫部を含む小片のパラフィン切片に対する染色によって、圧迫部を良く染める色素群(A群)と非圧迫部を良く染める色素群(B群)のあることが明らかになった。そこで、ナフトール黄、オレンジG、クロモトロープ2R、ブリリアント・ビーブリッチ緋の四種類のA群色素と、ライト緑SF、メチル青、アニリン青、ファスト緑FCFの四種類のB群色素とを組み合わせてマッソン染色のゴモリ変法に順じて、A群色素、B群色素、燐タングステン酸、酢酸、蒸留水より成る染色液を調整した。これによる染色とオルセイン染色の重染色を皮膚片に施すことによって以下の検討を行った。すなわち、縊頚、絞頚、扼頚などの頚部圧迫による窒息死死体から採取した皮膚片について、皮膚表面に対して垂直に薄切した全層切片と平行に薄切した層別切片のそれぞれに上記の方法による染色を施して鏡検して検討した。 非圧迫皮膚の全層切片の膠原線維はB群色素で一様に染まり、層別切片も同様である外、走行に乱れのない弾性線維が認められた。一方、圧迫部皮膚の全層切片の膠原線維はA群色素に染まり、B群色素で染まる非圧迫部と明瞭に判別され、層別切片に於いても同様に染まるとともに、走行が乱れたり、断端の捲縮した弾性線維が認められた。この場合、圧迫が強いとA群色素で良く染まるが、圧迫が弱くなるとA群色素による染色性が減弱してB群色素によって染まる様になる。しかしながら、弾性線維の走行の乱れは明瞭に認められた。 以上の成績から、今回検討した染色法は皮膚に対する圧迫の有無を識別するために有用であることが明らかであるが、さらに不明瞭な圧迫痕の検出については、今後とも検討を要すると考えられる。
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